2005 Fiscal Year Annual Research Report
ポピュラー文化における戦争の表象と戦争の集合的記憶の形成
Project/Area Number |
05F05030
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
浜 日出夫 慶應義塾大学, 文学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NAKAR Eldad 慶應義塾大学, 文学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 原爆 / ホロコースト / 集合的記憶 / 博物館 / 漫画 |
Research Abstract |
研究代表者は60周年を迎えた広島原爆忌をめぐるメディア報道、博物館・美術館における展示記念行事を比較調査した。その結果、被爆者の高齢化にともなって、被爆者が原爆忌の表舞台から退きつつあることが観察された(被爆証言の減少)。これと反比例して、被爆体験の複製化が進みつつあることが観察できた。それらのうちには、写真・映画などの機械的複製もみられるが、これとは異なる身体的複製とも呼ぶべき興味深い試みも観察でき、今後の被爆体験の継承の方向性を示すものとして注目した。研究成果は被爆60周年を記念して広島で開催された2005年度日仏社会学会大会シンポジウムで報告するとともに、論文「集中するヒロシマ・分散するヒロシマ-ヒロシマの継承の可能性-」として発表した。 研究分担者は、戦後日本のマンガに見られる戦争の記憶の変化に関する調査・分析を行ない、このうち1970年代までの変化についてはすでに論文「天国から地獄へ」にまとめ、すでに学術雑誌に掲載が決まっている。80年代以降の変化についても現在論文を執筆中である。 また研究分担者は「日本のシンドラー」として知られる杉原千畝のライフストーリーの語られ方に関する国内外の資料を収集し、分析するとともに、杉原の出身地である岐阜県八百津でフィールドワーク調査を行ない、杉原に関するインターナショナル/ナショナル/ローカル各レベルの集合的記憶の比較分析を現在実施中である。
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Research Products
(2 results)