2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05056
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
舛本 泰章 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PAL Bipul 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | スピントロニクス / スピンメモリー / 量子ドット / 残留電子 / 発光分光 / 2フォノン過程 / 超微細相互作用 / 動的核分極 |
Research Abstract |
定常および時間分解円偏光発光分光法を用いて電子を1つ含むInP量子ドットにおいて電子のスピン緩和の研究を行なった。量子ドット中にドープされた電子のスピンはミリ秒もの長い間保たれていることが明らかにされた。スピン緩和速度の温度および磁場依存性から5K以上では2フォノンプロセスが主要な緩和プロセスであることが明らかにされた。一方、5K以下では電子と核スピンの間の超微細相互作用が重要である。 円偏光励起に伴い動的核スピン分極がInP量子ドットにおいて起こり、これが電子スピンの偏極を鋭敏に変化させることを2個の電子と1個の正孔からなるトリオンの負の円偏光発光を縦磁場下で観測することで確認することができる。動的核スピン分極がおこると、電子スピンが感じる有効外部磁場B_<eff>は外部磁場Bと有効核磁場B_Nの和としてB_<eff>=B+B_Nと表わされる。右(左)円偏光励起下でトリオンの発光の円偏光度を外部磁場Bの関数として測定すると、±B_N(励起強度40mWのとき〜4.5mT)で負の円偏光度が鋭く減少する半値半幅15mTのローレンツ型の磁場依存性が得られる。右(左)円偏光で負の円偏光度が最小になる外部磁場が-(+)にシフトすることから、有効核磁場B_Nを相殺する外部磁場のとき、すなわち有効外部磁場が0のとき、負の円偏光度が最小になり、核スピンのゆらぎによる核磁場が15mTであること、弱磁場領域ではランダムにゆらいだ核スピンが形成する磁場が電子スピンの緩和の主要過程であることが明らかになった。光照射強度の増加に比例して有効核磁場B_Nは線形に増加し、比較的励起強度の強い50mWでも、B_N〓6mTであることは、InP量子ドットにおける超微細相互作用は比較的弱いことを示している。
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Research Products
(4 results)