2005 Fiscal Year Annual Research Report
放射光とレーザーを用いたキラル分子の光電子放出と光解離の立体選択性の探索と制御
Project/Area Number |
05F05059
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上田 潔 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LISCHKE Toralf 東北大学, 多元物質科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | キラル分子 / 内殻光電子放出 / オージェ電子放出 / 電子・イオン同時計測 / フェムト秒レーザー / 光解離 / 円二色性 / 多光子イオン化 |
Research Abstract |
(1)キラル分子の典型的な例である気相メチルオキシラン分子を標的として、シンクロトロン放射光施設SPring-8で得られる高輝度高分解単色軟X線を励起光源として用いて、炭素・酸素原子のK殻からの内殻光電子放出、KVVオージェ電子放出、内殻電子を共鳴励起した後におきる共鳴オージェ電子放出を観測し、第一原理計算に基いてオージェ遷移終状態(イオン化状態)の帰属を行った。さらに、内殻光電子、オージェ電子、共鳴オージェ電子と解離生成したイオンとの同時計測を行い、おのおののオージェ終状態からの分子解離に関する知見を得た。これらの知見は、シンクロトロン放射光を用いた分子解離円二色性実験を遂行するにあたり不可欠なものである。これらの成果については、現在投稿準備中である。 (2)レーザーパルス(1kHz)を真空中で分子線に照射し、解離生成イオンの質量分析と電子分光とを行うことのできる装置を作成した。アルコール分子やメチルオキシラン分子の分子線に400nm,100fsのレーサーパルスを集光し、解離生成するさまざまなイオンの強度や電子スペクトル強度のレーザーパワー依存性を測定した。レーザーパワー密度が10^<12>W/cm^2のオーダーでは多光子イオン化が支配的であるが、レーザーパワー密度が増えるに従い、電場イオン化に移行する様子を観測することができた。現在、これらのデータの理論的な解析を進めている。 (3)400nm,100fsのパルス(1kHz)の右回り・左回り円偏光を一定時間で自動的に切り替えて解離イオンを計数し、分子解離の円二色性を測定するための装置の改良を行った。
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Research Products
(1 results)