2006 Fiscal Year Annual Research Report
DMRG数値解析法を用いた光格子量子コンピュータ・量子シミュレータの研究
Project/Area Number |
05F05060
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
山本 喜久 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TIMOTHY Byrnes 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 外国人特別研究員
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Keywords | 量子コンピュータ / 量子シミュレータ / Lattice Gauge Theory / Surface Acoustic Wave |
Research Abstract |
本年度の研究は、主に量子井戸マイクロキャビティに閉じ込められたエキシトンポラリトンを、表面弾性波(SAW)がピエゾ電界を通して作り出す周期ポテンシャルに閉じ込めた系における量子相転移現象の解析に向けられた。この物理系は、いわゆるボーズハバードモデルと呼ばれる多体粒子モデルをシミュレートする量子素子として有望である。ポラリトンのサイト間のトンネル係数とサイト内での相互作用の強さを見積もり、ポラリトンBEC-Mott insulator間の量子相転移を観測できることを理論的に予想した。現在論文化を行っているところである。本年度は、さらにこのアイデアを実現するための具体的素子の作製と光学実験を開始した。MBE成長で作成されたGaAs多重量子井戸を含むGaAlAs/AlAsプレーナ分布帰還反射共振器の上に、くし形電極(Inter-Digitated Transducer : IDT)を作製し、上記量子相転移と思われる実験結果を得ることに成功した。現在、実験データの詳細な解析、検討を行っているところである。今後は、2次元電子ガス系をSAWポテンシャルに閉じ込めた系を用いてFermi Hubbard-Andersonモデルの量子シミュレーションを行うことや、2次元ポラリトンガス系を高濃度へ励起してBCS-BEC量子相転移現象の量子シミュレーションなども行っていく予定である。また、このような量子シミュレーションの手法を汎用の量子コンピュータの開発へつなげるべく、理論と実験を拡張していく予定である。これは、一言で言えば、ボーズ凝縮効果を利用して量子アニーリングを加速させる、というものである。
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