2006 Fiscal Year Annual Research Report
広帯域誘電分光法による凍結液晶-ベンゼン系の拘束された分子ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
05F05061
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
八木原 晋 東海大学, 理学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KUNDU S.K. 東海大学, 理学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 液晶 / 液晶分散系 / 液晶溶液系 / 生体系液晶 / 広帯域誘電分光 / 誘電緩和 / 拘束系 / 凍結 |
Research Abstract |
シアノビフェニール系液晶や高分子について,ベンゼンなどの溶媒による希釈(希釈法)や,低温域での凍結(凍結法)を手段として,液晶分子間,液晶-溶媒分子間相互作用をコントロールし,その束縛や拘束の様子を広帯域誘電分光(BDS:1μHz-30GHz)による分子ダイナミクスの観測によって調べた。希釈法による緩和パラメータの濃度依存性からは溶質-溶媒分子間相互作用がどのようにこれらの分子ダイナミクスを決定していくかを,また凍結法による緩和パラメータの温度依存性からは,不凍溶媒分子が凍結溶媒分子と溶質である液晶分子から束縛・拘束を受けながら示すスローダイナミクスや,不凍溶媒の存在によってダイナミックな性質を与えられている液晶分子と不凍溶媒分子間の相互作用の詳細を知ることができた。 本研究ではこれらのアプローチによる解析を従来の強誘電性液晶にも広げて同様に適用してみたところ,液晶の分子ダイナミクスの立場からの新たな緩和機構の解釈も可能になりつつある。また,シアノビフェニール液晶(5CB)の溶液系に関する緩和パラメータ解析を行い,特に濃度依存性から分子の配列形成過程について得られた結果と解析を用いて,従来の強誘電性液晶に関する測定データを示差走査型熱量(DSC)による相図作成の結果と共に,分子ダイナミクスの立場から解釈し直した。 さらに,リポソームやタンパクなどの生体分散系における液晶・ゲル状態にまで研究対象を広げることで,液晶・生体分散系のスローダイナミクスの一般的挙動としての解釈を試みた。さらに広帯域性を持たせてリポソーム分散系の相転移のBDS観測と凍結実験を行なっていったところ,pureなリポソームの温度・濃度依存性の測定結果から4つの緩和過程を見出した。このうちリポソーム周囲の水については脂質膜部分が液晶状態をとることでゆらぎが大きくなっている様子を観測でき,最近我々が始めている平均特性時間とゆらぎとの関係による特徴付けへの可能性を示した。今後静的・動的光散乱による測定結果と併せて,これらの溶液・分散系の特徴を解釈していく。
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Research Products
(6 results)