2005 Fiscal Year Annual Research Report
アジア太平洋域における有機エアロゾルの分子組成と吸湿特性に関する研究
Project/Area Number |
05F05067
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河村 公隆 北海道大学, 低温科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AGGARWAL Shankar Gopala 北海道大学, 低温科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 大気化学 / エアロゾル / ジカルボン酸 / レボグルコサン / 粒子成長 / 水溶性成分 / 吸湿特性 / 雲凝結核 |
Research Abstract |
本研究では、大気中の微粒子、特にアジア・太平洋域の有機エアロゾルに着目し、その組成解析を分子レベルで行うとともに有機エアロゾルが持つ吸湿特性を明らかにし気候への影響を解明することを目的にしている。 本年度は、札幌で採取したエアロゾル試料中に、水溶性有機成分である低分子ジカルボン酸、ケトカルボン酸、ジアルデヒドをするとともに、様々な燃料からの起源トレーサーをGC,GC/MS法によって解析した。また、エアロゾル試料から分離した水溶性画分の水蒸気凝結能力(吸湿特性)をタンデムDMAにより測定し、雲の生成におけるエアロゾルの役割を評価することをめざした。 その結果、以下のことがわかった。 1.札幌で採取したエアロゾル試料中では、シュウ酸が高い濃度で検出された。マロン酸、コハク酸も主要なジカルボン酸として存在することがわかった。 2.これらはエアロゾル炭素の数パーセントを占める重要な有機物であり、また、水溶性有機物の10%程度を占めることがわかった。 3.ジカルボン酸は一般に昼間に高い濃度を示し、光化学的に生成していることがわかった。しかし、夕方と夜間にも高い濃度を示すことが観測された。夕方におけるジカルボン酸の増加は、高い湿度の時に認められており、エアロゾルが水蒸気を吸収することにより液相での酸化反応が進行したことによると考えられた。一方、夜間における高い濃度は、逆転層の形成による有機物の蓄積であると解釈された。 4.エアロゾル試料を純水で抽出し、水溶性成分を分離した後、ネブライザーで微粒子を作成し、その吸湿特性を測定した。その結果、昼間に採取したエアロゾル試料の吸湿成長特性は夜間のそれにくらべて常に高い値を示すことがわかった。相対湿度85%における吸湿成長係数Gfは、1.2-1.6であったが、有機炭素で規格化したジカルボン酸濃度が高いときに粒子の吸収成長係数は大きくなり、両者には良い正の相関が存在することがわかった。
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Research Products
(6 results)