2005 Fiscal Year Annual Research Report
化学修飾したカーボンナノチューブの物性に関する研究
Project/Area Number |
05F05072
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川合 真紀 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CLAIR Sylvain 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / トンネル分光 / 非弾性トンネル分光 / カーボンナノチューブ / 安息香酸 / Au / 吸着 |
Research Abstract |
極低温走査トンネル顕微鏡(LT-STM)によるトンネル分光(STS)・非弾性トンネル分光(IETS)を使って、カーボンナノチューブ(CNT)の電子状態・振動状態と構造欠陥の相関を明らかにし、原子・分子吸着による化学修飾で電子状態を局所的に変調し、SWCNTの物性制御法を開拓することを目的に実験を行った。 CNTを溶かした溶媒を大気中にて滴下する方法と超高真空下でCNTでコートしたファイバーグラスや銅を直接Au(111)基板に接触させる方法(DCT法)によって試料作製を行いSTS・IETS測定に適するかどうか比較検討した。滴下法では、溶媒の種類やCNTの濃度、超音波攪拌の時間とパワー等の諸条件を変えて実験を行った。最適化した試料では、原子分解能像が得られ、その解析からCNTを特徴付けるカイラリティを決定することができた。また、STS測定では、CNTの1次元電子状態を反映したvan Hove特異点に由来するピークやバンドギャップが観測された。さらに、〜6Vの高い電圧パルスをかけることで、局所的にCNTを切断したり、構造欠陥を導入できることもわかった。DCT法でも同様にして試料作製を行い同様の結果を得た。滴下法では大気中で試料を調整するため、基板の選択や修飾法に制限があり、また、最適な条件でも試料作製の再現性が低い。一方、UHV下で行うDCT法では、再現良く良質の試料が得られ、かつ真空蒸着等と容易に組み合わせられることから、試料作製法としてDCT法が優れていることがわかった。吸着分子とCNTとの相互作用(直接的な電荷移動、基板電子系を介した相互作用、静電相互作用など)によるCNTの電子状態の変化に着目し、安息香酸自己組織化膜でコートしたAu(111)基盤にDCT法でCNTを吸着させた。安息香酸分子とCNTが共吸着している様子が原子分解能で明瞭に観察できた。
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