2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05078
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笠木 伸英 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AHN Joon 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 乱流制御 / 摩擦抵抗低減 / 数値シミュレーション / 吹出し・吸込み / 斜めスロット |
Research Abstract |
乱流摩擦抵抗の低減のための新しい手法を開発した.乱流摩擦抵抗とレイノルズせん断応力の間に成り立つ厳密な関係式であるFIK恒等式(Fukagata et al.,2002)の示唆するところによると,乱流摩擦抵抗を低減させるためには,壁面近傍のレイノルズせん断応力を減少させれば良いことがわかる.そこで,システム全体としては質量の流出がないように壁面において斜めに吹出し・吸込みをし,負のレイノルズ応力を発生させて抵抗を減少させる制御手法を提案した.この手法をレイノルズ数300(層流)と2,800(乱流)のチャンネル流動に適用した数値シミュレーションを行い,提案した制御原理の検証を行った.斜め吹出し・吸込みの角度を10度とし,速度は主流の50%とした。斜めスロットを持つチャネル乱流のシミュレーションを効率よく行うためにimmersed boundary methodを用いた.層流の計算結果としては見かけ上,本制御により層流以下の摩擦抵抗が得られたが,乱流の場合は吹出し・吸込みを一方の壁面の10%にだけ適用し,約10%の見かけ摩擦抵抗低減が得られた.しかしながら,現在までにシミュレーションを行ったケースでは,見かけ抵抗低減から制御入力を差し引いた正味のエネルギー低減は得られなかった.速度場およびエネルギーバランスの解析より,特に吸込みスロット上空において意図したようなレイノルズせん断応力の減少が起こっていないことが分かり,今後スロット形状および制御強度の最適化が必要であることが示された.一連の成果は2005年11月の米国物理学会流体力学部門年会(シカゴ)にて発表された.
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