2005 Fiscal Year Annual Research Report
遠隔操作型人道的地雷探査除去ロボットシステムの開発
Project/Area Number |
05F05080
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
広瀬 茂男 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PAULO Cesar Debenest 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 地雷撤去 / 遠隔操作 / ガソリンエンジン |
Research Abstract |
昨年は,人道的地雷撤去に使用する遠隔操作車両の駆動機構を改良し,屋外環境においても運用できる構成に仕上げた.車両の上部に取り付けたマニピュレータにも改造を施した.具体的には,2自由度を有する手首関節(センサを地形の表面に追従させるため)と金属探知のための地盤貫通レーダ(Ground Penetrating Radar,以下GPRと記す)の追加である.GPRは東北大学にて現在開発中のものである.極限環境下での運用を目的とし,携帯型の制御装置を開発し改良を加えた.この制御装置は屋外に簡単に運び出すことが可能である.それは重量が8.5[kg]であり小さなスーツケースと同程度の大きさのためである.屋外環境において制御装置から送信した制御信号が200[m]以上届くことを実験によって確認済みである.この研究において開発した制御装置は我々の研究室だけではなく日本の他大学や他の研究施設においても実際に標準の制御装置になりつつある.この制御装置には防塵・防水処理を施しているため,屋外環境での実験には理想的であると言える.研究を始めてからこの1年での集大成として,今年の2月にクロアチアで試験を行った.クロアチアは1990年代の前半に起こった戦争により今なお荒廃しており,国の大部分が再建されているにも関わらず地雷が埋設されている地域が未だに残っている.クロアチア政府は地雷撤去を行って土地を整備する政策に熱心に取り組んでおり,クロアチア国内のCROMAC(CROatian Mine Action Center)は現在世界で最高の設備を備えかつ最高の訓練を受けた地雷撤去組織の1つである.試験はベンコバツのCROMACの訓練場の1つを使用して行った.本物の地雷を路地に埋め込み,一般の金属探知機と東北大学で開発されたGPRセンサを使用して我々の車両によりその路地を走査する試験である.試験の結果は4月の初めに追って報告するが,我々はこの実験の関係者が我々のロボットシステムに大変満足してもらったと実感している.そして屋外実験において良好な結果が得られることにより,我々の研究が人道的地雷撤去の分野に強くそして前向きな印象を与えられる機会も増えると予想する.加えて,センサ用のライブラリやロボットの制御ソフトを作成するために,異なる環境で可能な限り多くのデータを取得することもまた重要であると考える.その結果多くの国々に我々の地雷撤去システムが配備され使用されるものと期待できるからである.
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