2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05088
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
都甲 潔 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PRAVEEN Singh 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 表面プラズモン共鳴センサ / 抗原抗体反応 / デンドリマー / 爆薬 |
Research Abstract |
本年度はSQUIDによる測定に先立ち,表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサによる爆薬分子の測定を行った.SPRバイオセンサの金薄膜チップ上に,ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマーを固定し,さらにそのマトリックスにTNP-BSAおよびDNP-OVAコンジュゲートの固定化を行った.このセンサにより,爆薬であるトリニトロトルエン(TNT)およびトリニトロフェノール(TNP)を高感度に検出した.金薄膜へのPAMAMデンドリマーの固定化は,16-mercaptohexadecanoic acidによる自己組織化単分子膜を形成した後,複数のステップを経て行われた.TNP-BSAとDNP-OVAコンジュゲートは,それぞれのセンサチップ上でのモノクローナル抗体の結合サイトとして用いた.これらの二つのセンサチップでは,マウス抗TNP-KLHモノクローナル抗体(TNT-Ab)およびラット抗DNPモノクローナル抗体(DNP-Ab)を用いた.これらの抗体とそれぞれのコンジュゲートの相互作用は,SPRバイオセンサによってモニタされる.このセンサは,金薄膜上の屈折率の変化を高感度に検出するものである.TNTおよびTNP濃度の定量は,間接競合法により行った.本方法では,抗体溶液中に抗原が存在すると,溶液中の抗体と抗原が結合するため,金薄膜表面に固定化された複合体抗原に結合する抗体の量が少なくなる.抗原を含まない場合の抗体結合量と抗原を含む場合の結合量の比をとることで,濃度定量が可能である.TNP-BSA固定化チップでTNT-Abを用いて,TNTに対する検出下限は300pptであった.また,二次抗体を用いて信号の増幅を行った場合,検出下限は30pptであった.DNP-OVA固定化チップでは,DNP-Abを用いてTNPに対する検出下限は,500pptであった.チップは,50mM NaOHと10mM Glycine-HCl pH2.0溶液を順次用いることで,再生が可能であった.デンドリマー表面は非常に安定でロバストであり,同じ抗体の結合量を保ったまま,抗体の結合および解離を30回以上繰り返すことができた.
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