2007 Fiscal Year Annual Research Report
ギャップスペースとギャップスケープ:日本の歴史的都市におけるそれらの役割と関係
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05F05098
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
森田 孝夫 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MENDES HORMIGO Pedro Jose Laitao Garcia 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ギャップスペース / ギャップスケープ / 権現造 / 八幡造 / 拝殿 / 本殿 |
Research Abstract |
平成19年度は,現代都市において空地や棄てられた空間(ギャップ)の観察から始め,ギャップが都市と建築にどのように作用したかを分析してきた研究を,総合化する年である。 ギャップと分離に関する日本の歴史的な要因や理由に関して,多くの研究課題が未だ残されている。このために,日本における代表的な歴史建造物を調査しギャップと分離の観点から分析を進めた。神社建築に特有なギャップスペースの例として,拝殿と本殿の関係に注目した。神殿建築の類型化は,ギャップの利用や構成の展開に注目して行われていると推測される。分離とギャップを利用しながら,全体性と統一を生み出して,複合的な建築が確立されている論理は,高架鉄道の下の何もない空間(ギャップスペース)が,後には連続する都市形態になった例をあげることができる。分離から複合的な都市形態への発展は,共同の屋根が要素の間にあるギャップを埋める仕事をしている。 研究の成果は,歴史的建造物と現代都市空間に関して,規模と特徴が明らかに異なるにもかかわらず,ギャップの昔の実例と現代の実例のアナロジーを立証することができたことである。建築と都市の発展において,形態が一体化を妨げられて分節化して,ギャップが生まれる現象は,歴史的にみられる一定の傾向であろう。しかし,何もない空間と短縮路が存在する所においては,連続性への歴史的な要求を見て取ることができ,ギャップは,連続性や統合をつくるために操作できる道具や手段となってきた。したがって,ギャップスペースは,空間の生産性のために,都市と建築を結びつけるために最も重要な道具であると論じることができる。
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Research Products
(1 results)