Research Abstract |
ポーラス金属の応力-ひずみ挙動のメカニズムを,引張・圧縮・曲げなどの力学試験,走査電子顕微鏡・透過型電子顕微鏡・X線などによる微視的組織と変形モードの観察,および有限要素法による応力計算により,明らかにし,その結果をモデル化して,定量予測法を開発することを第一の目的とする.ついで,本材料はエネルギー吸収体・フィルター・熱交換機などへの応用が期待されることから,熱伝導・電気伝導・ガスや水の透過能などの機能性に関するデータを収集し,変形で生じる組織・構造との相関を明らかにすることを第二の目的とする. 本年度は,試料としては,ステンレススチール,銅,Ni系超合金およびチタンのポーラス試料を用いて,応力-ひずみ挙動を調べた.これらポーラス試料には,従来の伸び計やひずみゲージは装着できないため,これまでは試験機のクロスヘッドの移動距離からひずみが求められていた.しかしこの方法では精度が悪く,試料自体のひずみを測定できないため,正確なヤング率や加工硬化率を求めることはできなかった.本研究ではレーザー光を用いた非接触伸び測定装置を用いて,正確な応力-ひずみ曲線を求めることを試みた.著者らの知る限りではこの分野では最初の試みである. この手法により,セルサイズの異なるステンレススチール,銅,Ni系超合金およびチタンのポーラス試料の応力-ひずみ曲線を精度良く測定できた.得られた応力-ひずみ曲線からヤング率,降伏応力,加工硬化率などを求め,並行して行った破面観察結果とも突き合わせて,セルサイズとヤング率,降伏応力,引張強度,破断伸びとの相関をほぼ把握できた.今後はこれらの結果をもとに,モデル化・定量化する予定である. 来日したのが平成17年9月15日で,平成18年春の学会への発表申込みには間に合わなかったため,発表論文はないが,平成18年秋期金属学会・鉄鋼協会の秋季大会で上記成果を発表の予定である.またまとまり次第,当該分野の国際学術雑誌に投稿したい.
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