2006 Fiscal Year Annual Research Report
核酸シャペロン機能を持つ高分子材料設計と核酸ナノテクノロジーへの応用
Project/Area Number |
05F05112
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
丸山 厚 九州大学, 先導物質研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHOI S 九州大学, 先導物質化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | DNA / ナノマシン / 鎖交換反応 / ポリカチオン / くし型共重合体 / 4重鎖核酸 |
Research Abstract |
核酸は遺伝学的な興味のみならずナノテク素材としても期待されている。核酸から構成され、核酸を"燃料"として駆動する様々な"核酸ナノマシン(DNA-fueled DNA nanomachine)"が提案されている。このような核酸ナノマシンの作動原理は、2種の核酸構造間を燃料核酸とのハイブリダイゼーションあるいは鎖交換反応を利用して転移させることである。一方、核酸ナノマシンの応用を高めるためには、(1)マシンの出力、堅牢性の向上、(2)応答性の向上、および(3)燃料核酸以外には応答しない安定、正確な動作などが求められる。マシンの出力および堅牢性は、核酸ハイブリッドの安定性に依存する。一方で、応答性はハイブリダイゼーションおよび鎖交換速度に依存する。しかし、通常、核酸ハイブリッドの安定性を高めると、鎖交換速度は低下してしまう。つまり、この二つの要求は相反しジレンマとなる。すでに、カチオン性共重合体は、核酸ハイブリッドを安定化しつつハイブリッド形成速度や、鎖交換速度を顕著に高めることを見いだした。つまり、共重合体は、核酸ナノマシンのジレンマを取り除く上で、有用と推測された。 伸縮型の核酸ナノマシンに対する共重合体の効果を評価した。その結果、応答が顕著に加速され、またシグナル変化も大きくなった。また、10サイクル後も50%近い応答性を保持していた。共重合体が、核酸ナノマシンの応答速度と堅牢性を高める上で有用であることがわかった。核酸ナノマシンは、核酸ハイブリッドが不安定化する低イオン強度条件では、動作が緩慢になる。実際、塩濃度を50mMとすると、マシンの応答性が顕著に低下した。しかし、共重合体を共存させることで、低塩濃度下でも迅速かつ大きな応答が得られることが確認された。共重合体は、核酸ナノマシンの応答性を改善しかつ作動条件上の制約を取り除くことで、その展開を広げるものと期待された。
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