2006 Fiscal Year Annual Research Report
薬物徐放制御のための生分解ポリウレタンの凝集構造制御
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05F05113
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高原 淳 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
THATIPARTI Thimma Reddy 九州大学, 先導物質化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 生分解性材料 / 薬物徐放(DDS) / セグメント化ポリウレタン / リジジンイソシアナート / IPN / 分子凝集状態 / 温度応答性 / 創傷被覆材 |
Research Abstract |
従来の生分解材料の大部分は硬く、脆いガラス状高分子であるため、生体への埋め込みの際には、コンプライアンスの違いにより異物感が生じ、臨床の際に問題となる。DDS(ドラッグデリバリーシステム)への利用でもガラス状高分子のみでは、放出速度の制御が困難である。本研究では、アミノ酸を原料とするリジンジイソシアネートを用いたセグメント化ポリウレタンを合成し、その構造と物性を制御し、そのポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)の相互侵入網目を合成し、薬物徐放(DDS)への応用展開を試みることを目的とする。特に温度に依存して表面物性や膨潤度を変化させ、細胞親和性、薬物徐放性を検討した。 セグメント化ポリウレタンの合成は既報の手法で合成した。(1)ソフトセグメントは種々の数平均分子量、Mnのポリカプロラクトンジオール、鎖延長剤は1,4-ブタンジアミンである。サンプルはPCL(PCL Mn)(PCL fraction)BDAで表記した。20-50wt%のPNIPAMを含むSPUU/PNIPAMの相互侵入網目(IPN)は、NIPAMのポリウレタン溶液中でのAIBNを用いた熱重合により調製した。ここで架橋剤はMBAmである。IPNの組成は英文のTable 1に示している。重合後のIPNはテフロンシャーレ上で製膜した。これらのサンプルに対して、赤外吸収スペクトル測定、示差走査熱量(DSC)測定、動的粘弾性測定により特性解析を行った。さらに膨潤度の温度依存性、繊維芽細胞の培養挙動、モデル薬剤の放出挙動を評価した。 SPUUの生成、特性解析は既報の通りである。SPUU/PNIPAM IPNの生成は赤外吸収スペクトル測定によるPNIPAMの特性ピークの出現により評価した。また動的粘弾性、DSC測定からも、IPN化によるガラス転移温度の変化が観測された。 PNIPAMは室温で膨潤、37℃付近で収縮する温度応答性高分子である。SPUU/PNIPAMのIPNでも温度応答性が観測され、表面の特性も低温では親水性、37℃付近では細胞接着に適した表面特性を示した。また水による膨潤で白濁を示した。37℃での繊維芽細胞の培養結果はこの系に細胞毒性が無いことを示しており、さらにPNIPAMの膨潤による低温で細胞の脱着が観測された。この特性は創傷被覆材としての応用に極めて有用である。 抗菌剤であるセルファメタキサゾールの放出挙動を評価した。初期には比較的早い放出が、後期では遅い放出が観測され、IPNではPNIPAMの膨潤による初期の放出速度の増大が観測された。
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Research Products
(1 results)