2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規な生分解性キトサンナノ粒子を用いた高機能ワクチンの開発
Project/Area Number |
05F05133
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
明石 満 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YOKSAN Rangrong 大阪大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | キトサン / ナノ粒子 / フェニルアラニン / ラクチド / 自己組織化 / DDS |
Research Abstract |
キトサンは、自然界に存在する多糖類の中でセルロースの次に多く存在し、生体適合性や生分解性などバイオマテリアルとして適した性質を有している。これまで、創傷被覆剤やドラッグキャリアなど様々な生体材料へ応用されてきたが、キトサンの自己組織化によるナノ構造体の形成と制御に関する詳細な検討は行われていない。そこで本研究では、親水性多糖であるキトサンに疎水性のフェニルアラニンやラクチドを結合し、親・疎水性のバランスを制御することによるナノ構造体の形成を目的とした。さらに、ナノ構造体の制御によるDDS担体としての最適化を目標に設定した。 加水分解処理により低分子化することで水溶性を付与したオリゴキトサン(脱アセチル化度=83%、分子量=3,320)のアミノ基に、縮合剤であるEDCを用いてフェニルアラニンを結合させた。反応はFT-IRや^1H-NMRスペクトル、X線回折測定により確認した。合成したキトサン誘導体は水溶性を示した。キトサン誘導体を水に溶解させてアセトンに添加することで、アセトンの色が乳白色に変化した。この溶液を乾燥した後に走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、フェニルアラニンの導入率によって粒子状の凝集体からロッド状へと構造が変化することが確認された。これは、フェニルアラニンの導入率に伴った親・疎水性のバランスで構造体の形状が変化したと考えている。 また、同様のオリゴキトサンと触媒であるトリエチルアミン、ラクチドを60℃のDMSO中で反応させることにより、キトサンのアミノ基とヒドロキシル基にラクチドを結合した。このキトサン誘導体は水に不溶であり、エタノール中で乳白色を示した。乾燥後のSEM観察の結果、粒径50-70nmのナノ粒子の形成が確認された。 以上のように、キトサン誘導体の親・疎水性を制御することで、ナノ粒子からロッド状構造体までキトサンの自己組織化の制御に成功した。
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