2005 Fiscal Year Annual Research Report
担持貴金属ナノ粒子の表面プラズモン励起を利用する可視光駆動型光触媒分解反応
Project/Area Number |
05F05134
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大谷 文章 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KOWALSKA Ewa Katarzyna 北海道大学, 触媒化学研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 光触媒反応 / 金微粒子 / 表面プラズモン / 作用スペクトル / 再結合 |
Research Abstract |
担体として,酸化チタンあるいは酸化ケイ素など,担持金属として金,銀,白金などを選び,さまざまな組みあわせの光触媒を,(1)光析出法,(2)コロイド担持法,あるいは(3)含浸水素還元法などを利用して調製し,既存の紫外可視吸光光度計を用いてその拡散反射測定を行い,可視光領域の吸収が大きく有望な光触媒系を探索したところ,担体として酸化チタン,担持金属として金,そして調製法としてメタノールを含む塩化金酸水溶液に酸化チタン粉末を懸濁させて光を照射することによって金属を担体表面に析出させる光析出法がもっとも好適であることを見いだした.走査型電子顕微鏡観察により,数〜数十ナノメートルの金粒子が酸化チタン上に析出していることが確認された.さまざまな種類の酸化チタンに金微粒子を析出させたものを光触媒として,(a)メタノール水溶液からの水素発生,(b)酢酸水溶液からの二酸化炭素発生,および(c)フッ化銀(あるいは硫酸銀)水溶液からの酸素発生反応に対する作用スペクトル(アクションスペクトル)を測定した.その結果,(b)の反応系において,顕著な可視光活性,すなわち酸化チタン単独では反応が起こらない400〜600nmにおいて光触媒反応が進行することを明らかにした.一方,乾燥あるいは水懸濁状態において拡散反射測定を行うと,いずれの金担持酸化チタン粉末でも,表面プラズモン吸収に帰属される400〜600nmにおける吸収が存在した.これらの結果を総合すると,酸化チタンに担持させた金微粒子の表面プラズモン励起によって,酸化チタンへ電子が移動し,これが酸素を還元するとともに,金粒子中に生じた正孔が酢酸を酸化する反応機構が推定された.
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