2005 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素元素の特性を活かした創薬研究と中性子捕捉治療への応用
Project/Area Number |
05F05141
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Research Institution | Gakushuin University |
Host Researcher |
中村 浩之 学習院大学, 理学部, 助教授
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Foreign Research Fellow |
LEE Jong Dae 学習院大学, 理学部, 外国人特別研究員
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Keywords | ホウ素 / ドラッグデリバリーシステム / 中性子捕捉治療 / ホウ素クラスター / リポソーム |
Research Abstract |
中性子捕捉療法は脳腫瘍および皮膚がんの治療に用いられてきたが、最近頭頸がんの治療にも成功しその応用範囲の拡大が注目されている。現在、出力の弱い加速器による中性子捕捉治療の実現のためにもがん細胞内へのホウ素の高濃度送達が必要とされている。本研究ではリポソームを用いたドラッグデリバリーシステムに注目し、リポソームの脂質二重膜内にボロンを取り込ませることにより高濃度で腫瘍細胞組織へボロンを選択的に集積させることを目的とし、研究を行った。具体的には、安定したリポソームを形成し、血中滞留性が高くまたリポソーム膜層に高濃度に取り込まれるボロン脂質を開発するために、水溶性ホウ素イオンクラスターであるニド型カルボランを親水性部位に導入したジステアロイルホスファシジルコリン型リン脂質(DSPC)の有機合成を行った。また、合成したホウ素イオンクラスター型脂質とジステアロイルホスファシジルコリン型リン脂質、コレステロールからリポソームを調整した結果、およそ100nmの大きさのリポソームを調整することに成功した。さらに、がんを移植したマウスを用いて中性子照射を行ったところ、ホウ素リポソームを投与しないマウスに比べ1.5倍ほど延命効果が得られた。この結果を踏まえ、さらに新しいホウ素脂質の開発を行った。生体膜を構築しているリン脂質と同じキラリティーを有する様々な長さの炭素鎖を有する二本鎖ホウ素脂質の開発に成功した。
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Research Products
(3 results)