2006 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素元素の特性を活かした創薬研究と中性子捕捉治療への応用
Project/Area Number |
05F05141
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Research Institution | Gakushuin University |
Host Researcher |
中村 浩之 学習院大学, 理学部, 教授
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Foreign Research Fellow |
LEE Jong Dae 学習院大学, 理学部, 外国人特別研員
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Keywords | ホウ素イオンクラスター / ドラッグデリバリーシステム / リポソーム / 中性子捕捉治療 / ホウ素脂質 |
Research Abstract |
中性子照射によって薬物キャリアーからの薬物放出を制御するためのDDS開発を目的として、ホウ素デリバリーシステムを開発した。具体的には、生体膜構成脂質の1つであるホスファチジルコリンの構造に着目して、現在臨床に用いられている低毒性ホウ素イオンクラスター(BSH)を水溶性部位に導入し分子設計した同じ不斉炭素立体構造を有するミリストイル型(C14)、パルミトイル型(C16)、ステアロイル型(C18)のそれぞれエステルリンカー型(DMBL, DPBL, DSBL)、カーバメイトリンカー型(DMCBL, DPCBL, DSCBL)の6種類の光学活性なホウ素含有脂質の合成に成功した。また、ホウ素コレステロールに関してもエステルリンカー型、カーバメイトリンカー型の2種類の合成に成功し、これらを含む粒子径100nmのリポソームを構築した。このリポソームにはポリエチレングリコール(PEG)を修飾し、生体血管内でのステルス性の向上を狙った。リポソームの安定性試験を実施し、ホウ素脂質の至適量を決定した。 細胞レベルでの新たな評価系の開発を目的として、ハイスループットスクリーニング法を中性子照射実験系で初めて行えるシステム「Cyborg488」を開発した。このシステムでは、96ウェル細胞プレートをMTTアッセイ法を組み合わせたもので、1回の照射に約500検体を評価することが出来る。30分ホウ素リポソームとcolon26マウス大腸がん細胞を接触させた後、細胞培地を交換し、ホウ素薬剤が培地に存在しない状態で約1時間培養後、30分の中性子照射を行った。アッセイ結果を図2に示す。パルミトイル型ホウ素脂質(DPBL、DPCBL)ならびにステアリル型ホウ素脂質(DSBL)を用いたホウ素PEGリポソームで高い細胞成長阻害活性を示すことを見出した。
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Research Products
(4 results)