2005 Fiscal Year Annual Research Report
Ybイオンの電荷移動状態に基づく新規シンチレータ材料の開発
Project/Area Number |
05F05142
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉川 彰 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NOVOSELOV Andrey 東北大学, 多元物質科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 単結晶 / シンチレータ / マイクロ引き下げ法(μ-PD法) / チャージトランスファー / 医療工学 / 陽電子断層撮像装置(PET) |
Research Abstract |
近年、Yb^<3+>のCharge Transfer(CT)状態からの発光が報告されたことを受け、我々がシンチレータとしての可能性を検討した結果、Yb^<3+>イオンのシンチレーションは、parity許容でかつスピン許容であることから遷移が早く、濃度消光が起きにくいなどの特徴を有しているほか、ホスト結晶の違いにより、発光量・蛍光寿命等の特性が大きく異なることから、適切なホスト材料の選択により、従来にない優れたシンチレータ材料を見出すことも期待できる。我々はこのCTからの遷移による発光に着目し、当研究室で開発したマイクロ引下げ(μ-PD)法を用いて主にYbをドープしたガーネット結晶の結晶成長実験および発光特性の評価を行った。その結果、CT状態からの発光は蛍光寿命が非常に早く、室温では、0.5〜1nsと、現在用いられているCe:LSOの40ns、BGOの300nsなどと比較して大きく上回ることが分かった。しかしながらこのような短い蛍光寿命は温度消光効果によるものであり、室温では発光量が従来材料と比較してかなり低いものとなってしまうことも同時に明らかとなった。そのためこのYb系シンチレータの特性を生かすためには冷却が前提となるが、現時点ではPET装置は室温での動作を想定しており、数年以内の実用化が難しいと考えられる。一方、最近の計算機技術の進歩などにより、本研究課題の最終目標であるTOF型PET用シンチレータは、1nsを切るような超高速の蛍光寿命でなくとも、従来材料より有意に短い蛍光寿命を持ち、その他の特性で同等であれば十分とされるようになってきた。そこでこの前提を元に有望な系を再検討し、Pr^<3+>の5d-4f遷移による発光が浮上してきた。そこで探索を行った結果、Prをドープした結晶のいくつかにおいて、Prイオンの5d-4f遷移による発光を観測し、発光強度・蛍光寿命共に優れていることが分かった。
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Research Products
(7 results)