2006 Fiscal Year Annual Research Report
オレフィンの精密重合に高性能を発揮する担持型遷移金属錯体触媒の設計・創製
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05F05157
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
野村 琴広 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KITIYANAN Boonyarach 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 遷移金属錯体触媒 / 精密重合 / チタン錯体触媒 / 固定化触媒 / リビング重合 / エチレン重合 / 触媒設計 / 末端官能基化 |
Research Abstract |
本課題はオレフィンの精密重合のための新しい固定化遷移金属錯体触媒の設計・創製で、具体的には「リビング重合により"ポリマー末端に配位子を導入する"ことを特徴とした新しい担持遷移金属触媒の創製」を主目的としている。主な成果は以下の通りである。 申請者らが確立したMo錯体触媒を用いるノルボルネンのリビング開環メタセシス重合によるポリマー末端への官能基化手法により、置換フェノキシ配位子を有するポリノルボルネンを合成、ついで同ポリマーを配位子とするチタン錯体(A)を合成・同定した。また比較例として、ポリスチレン側鎖にフェノキシ配位子を有するチタン錯体(B)を合成・同定した。 触媒Aはエチレン重合に高い触媒活性を示し、活性へのフェノキシ配位子上の置換基効果や得られるポリマーの分子量は、非担持型の錯体触媒での結果とほぼ同等であった。末端担持型触媒Aでは活性への側鎖長の効果は見られなかったが、側鎖担持型触媒Bではポリマー鎖あたりのチタン含量が増加すると活性が顕著に低下し、生成ポリマーの分子量分布も多峰性となった。 フェノキシ基の2,6-位を^iPrとした触媒Aは、エチレンと1-ヘキセンとの共重合に極めて顕著な活性を示し、得られるポリマーの分子量やその分布、1-ヘキセン含量やポリマーのミクロ構造は同条件下での非担持型の錯体触媒での結果とほぼ同一であった。また、この共重合における配位子上の置換基効果も同じで、非担持型の錯体触媒の特徴を保持できた。現在学術論文を投稿中であり、詳細な結果を投稿準備中である。(平成18年度の国際会議での発表は2件) この手法を通じて均質な反応場を形成でき、錯体触媒本来の特徴(高活性・高選択性)を保持することが達成できた。この研究が錯体触媒の固定化の有用な新手法となることを提案できた。
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Research Products
(2 results)