2006 Fiscal Year Annual Research Report
タデ属植物からの5α-リダクターゼ阻害成分に関する研究
Project/Area Number |
05F05160
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
近藤 隆一郎 九州大学, 大学院農学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KIM Yong-ung 九州大学, 大学院農学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | α-ionone / β-ionone / アビエチン酸 / カシュウ / ロジン / 5α-リダクターゼ阻害剤 / 男性ホルモン依存性疾患 |
Research Abstract |
抗男性ホルモン療法に活用されている様々な生薬のうち、身近な生薬に対して50%エタノール抽出物を調剤し、それらの抽出物それぞれについて5α-リダクターゼ阻害活性試験を行ったところ、カシュウ、ロジンは最も高い阻害活性を示した。カシュウはツルドクダミPolygonum multiflorum Thunbergの塊根である。カシュウから5α-リダクターゼ阻害成分の単離ならびに構造決定を行うことにより、カシュウからのβ-iononeをはじめとするα-iononeなどのiononeが5α-リダクターゼを選択的に阻害することを示した。ロジンはマツ属Pinus spp.諸種植物の分泌物(テレビンチナ,生松脂)から精油を除いて得た樹脂である。ロジンには樹脂酸(ジテルペンカルボン酸)を主成分として90%含んでおり、ロジンから5α-リダクターゼ阻害成分の単離ならびに構造決定を行うことにより、樹脂酸(ジテルペンカルボン酸)であるアビエチン酸が5α-リダクターゼ阻害を示す主な成分であることを示した。また、ロジンからのアビエチン酸をはじめとするピマル酸、ネオアビエチン酸などの樹脂酸(ジテルペンカルボン酸)が5α-リダクターゼを選択的に阻害することを示した。樹脂酸(ジテルペンカルボン酸)化合物の5α-リダクターゼ阻害活性について、構造活性相関を調べたところ、分子中の陰イオン性カルボン酸構造が5α-リダクターゼ阻害活性に重要であることが明らかになった。この5α-リダクターゼ阻害成分のうち、細胞毒性の低い化合物は、今後の陽性前立腺肥大抑制活性や育毛活性などの抗男性ホルモン活性についての実験動物においてのin vivo評価実験及び臨床的評価実験で、有意的かつ選択的な効果が期待され、近年増えつつある男性ホルモン依存性疾患の予防や治療への応用が期待される。
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