2005 Fiscal Year Annual Research Report
魚類飼料としての共役リノール酸(CLA)の利用とヒトに対する栄養機能性
Project/Area Number |
05F05162
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮下 和夫 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YASMIN AFSANA 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 共役リノレン酸 / 飼料 / DHA・EPA / 内臓脂肪 / 体重 / 可食部 / 非可食部 / 養殖 |
Research Abstract |
本年度は、共役リノレン酸(CLN)の魚類に対する生理作用を明らかにし、魚類飼料としての有用性について検討を行った。実験試料としてはCLNを70%以上含むザクロ種子油を用いた。濃度の異なるザクロ種子油をサクラマスに投与し、6週間飼育後、体重、体長などを測定した。採血・解剖後、臓器重量や各臓器中の脂質含量、脂肪酸組成、脂質代謝酵素活性などを測定した。その結果、ザクロ種子油投与により、CLNが効率よく魚肉中に移行することが明らかになった。また、2%以下のザクロ種子油投与で、筋肉部分の増大、内臓脂肪の減少が認められた。筋肉中の脂肪酸組成を分析したところ、EPAやDHAの含量がコントロールと比較して増加することも明らかになった。ザクロ種子油飼料中の脂質にはコントロール脂質と比較して、EPAやDHA含量にほとんど差のないこと、また、n-3系高度不飽和脂肪酸の起源となるα-リノレン酸の含量は、ザクロ種子油群の方が少ないことなどを考慮すると、ザクロ種子油投与によるEPAやDHA含量の増大は、これら脂肪酸合成系の活性化に起因するものと考えられた。 以上より、魚飼料中にCLNを添加することにより、飼料の可食部(筋肉部)へのCLNの効率的な移行、非可食部(内臓)中の脂肪の減少、機能性脂肪酸としてヒトに有用なEPAやDHAおよび共役脂肪酸(CLN)の増大といった効果の得られることが初めて明らかにされた。こうした成果は、機能性栄養成分を多く含む養殖魚を創出する上で極めて有用な知見を与えるものと考えられた。
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