2006 Fiscal Year Annual Research Report
多置換ジエンの幾何構造制御に基づく連続不斉炭素中心構築
Project/Area Number |
05F05163
|
Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
上西 潤一 京都薬科大学, 薬学部, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SIRIWARDANA A. I. 京都薬科大学, 薬学部, 外国人特別研究員
|
Keywords | 三置換オレフィン / ジエン / クロスカップリング / 立体選択的反応 / 異性化 |
Research Abstract |
本研究では、多置換ヨードシエンの幾何構造を制御した合成を展開するとともに、これらのジエンを用いて分子内および分子間Diels-Alder反応に供して、連続した不斉中心の構築を達成し、天然有機化合物の多置換デカリン環の合成を行うことを目的としている。しかし連続した多置換ジエンの合成は限られた例に留まり、系統的にこの幾何異性体の合成をおこなわれ、その反応性が調べられた事はなかった。以下に平成18年度の成果をまとめる。 (1)立体化学的に純粋なZ-型ブロモエンインに、Niを触媒とする熊田・玉尾・Corriu反応を行うと、E-型三置換エンインが立体選択的に得られた。この際、遷移金属が触媒するクロスカップリング反応にも関わらず、立体化学が反転するという異常な現象に遭遇した。一方同じZ-型ブロモエンインにPd (P^tBu_3)_2を触媒として同反応をおこなうと立体化学が保持されZ-型三置換エンインが選択的に得られることがわかった。その結果、この二つの方法により立体化学の制御された三置換エンインを選択的に作り出すことが出来るようになった。 (2)そして、このエンインの末端アセチレン部分をシスおよびトランスヨードアルケンに導いて、(1e,3Z)-、(1E,3E)-、(1Z,3Z)-および(1Z,3E)-ヨードジエンを立体選択的に合成する事が出来た。しかしながら、これらのジエン類は計算上そのエネルギーの差が予想以上に小さく取り扱いの十分に注意を払わないと容易に異性化することが判明した。この知見は今後多置換共役化合物を合成して行く上で重要な意味を持つと考えられる。
|