2005 Fiscal Year Annual Research Report
運動と分岐鎖アミノ酸(BCAA)による骨格筋萎縮の抑制効果
Project/Area Number |
05F05171
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
下村 吉治 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BAJOTTO Gustavo 名古屋工業大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 筋萎縮 / タンパク質合成 / タンパク質分解 / 翻訳開始因子 / ユビキチン-プロテアソーム / S6K1 / MuRF-1 / MAFbx |
Research Abstract |
本研究の第一段階として、模擬微小重力(後肢懸垂モデル)による経時的廃用性筋萎縮の調節機構を分子レベルで検討した。対象として7〜8週齢のSD系雄性ラットを用いた。ラットは対照群と後肢懸垂群に分けられ、更に両群は、懸垂直前、0.5、1.5、3.5および5.5日間後肢懸垂の条件に分けられた。後肢懸垂は研究員が開発した独自のケージおよび尾部連結法によって行われた。それぞれの群の実験最終日には、ペントバルビタールナトリウム麻酔下に、ラットから血液および5つの後肢筋(前脛骨筋、長指伸筋、腓腹筋、足底筋、ヒラメ筋)を採取した。なお、懸垂直前群を除く、組織の採取前12時間(7:00〜19:00)は絶食とした。採取した筋肉の中から、抗重力筋であるヒラメ筋が最も萎縮したため、残りの分析にはヒラメ筋のみを用いた。時間の経過につれ、後肢懸垂ラットヒラメ筋の総タンパク質量および総RNA量は、対照ラットに比べて有意に低下した。しかし、ヒラメ筋のタンパク質およびRNAの相対量には変化が認められなかった。タンパク質翻訳開始調節因子の1つであるS6K1のThr389リン酸化率は、懸垂直前群に比べて全ての群で有意に低かった(すなわち、12時間絶食の影響が大きかった)。しかし、3.5および5.5日間後肢懸垂ラットのS6K1総タンパク量は、対照ラットに比べて有意に低かった。萎縮したヒラメ筋のユビキチンC、プロテアソームC2サブユニットおよびE2(14kDa)mRNA量はほとんど変わらなかった。一方、骨格筋特異的タンパク-ユビキチンリガーセであるMuRF-1およびMAFbxのmRNA量は後肢懸垂の1.5日から有意に高かった。本研究の現在までの結果において、MuRF-1およびMAFbxが廃用性萎縮の筋タンパク質分解調節の主要因であることが示唆された。
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