2006 Fiscal Year Annual Research Report
マングローブ、陸上植物、海産菌類に特有な脂肪酸マーカーの特定に関する研究
Project/Area Number |
05F05178
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
土屋 誠 琉球大学, 理学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MFILINGE Prosper Laurent 琉球大学, 理学部, 外国人特別研究員
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Keywords | マングローブ / 脂肪酸分析 / 食物源 / 食物連鎖 / 菌類 |
Research Abstract |
現在まで陸上植物が特徴的に生産する脂肪酸が幾つか確認されているが、マングローブ植物と他の陸上植物を区別できるような特徴を持った脂肪酸は報告されていない。この区別が出来ることによって島喚における食物連鎖、あるいは物質循環の研究が飛躍的に発展することが期待される。今年度もマングローブ植物に特有の脂肪酸を解明しようとしたが、明確な区別は得られず、他の陸上植物と類似した脂肪酸を合成するという前年度と同様の結果が示唆された。すなわちこれらの緑葉は16:0、18:1ω9、18:2ω6、18:3ω3を有していることで特徴づけられる。ただマングローブの緑葉は18:1ω9の含有量が他の陸上植物よりも多い特徴がある。メヒルギやヒルギダマシにおいて、全脂肪酸のうち40%が多価不飽和脂肪酸の18:3ω3で占められており、さらに18:1ω9の含有量も多いことはこれらの種の特徴であろう。炭素原子を18個以上有する長鎖脂肪酸と16個有する脂肪酸の比はマングローブ植物を他の陸上植物と区別する根拠になる可能性がある。 本年度は、さらに詳細にマングローブ植物の脂肪酸マーカーを特定するために、香港、オーストラシアの種にっいても研究し、沖縄産の種と比較しながら、各種の脂肪酸組成の特徴を調べた。その結果、種によって脂肪酸組成は明らかに異なること、同種であっても地域によって組成が異なり、特徴が顕著であること、が確認された。この研究ではマングローブ植物が18:2ω6、18:3ω3、および炭素原子を24以上有する長鎖脂肪酸を持つことで特徴づけられる事が示された。 菌類については、18:1ω9、18:2ω6、22:6ω3などがマーカーとして利用できそうな情報がさらに蓄積されたので、食物連鎖に伴って移動する物質の動態研究に使用できる可能性が高まった。 マングローブ域に生息するTerebralia属の巻貝の脂肪酸組成は揚所によって異なる特徴を有することが明らかになったので食物源解明の研究はさらに慎重さを要求される。
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Research Products
(4 results)