2006 Fiscal Year Annual Research Report
核内受容体を介したクロマチン制御とDNAメチル化による遺伝子発現制御機構の解明
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05F05184
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 茂明 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KIM M.-S. 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | ビタミンD31α-水酸化酵素 / 1α,25(OH)_2D_3 / ビタミンDレセプター(VDR) / 転写抑制 / DNAメチル化酵素 / 染色体の構造調節 / ヒストン修飾 / エピジェネティクスな制御 |
Research Abstract |
ビタミンD31α-水酸化酵素[1α(OH)ase]は、活性型ビタミンD[1α,25(OH)_2D_3]生合成の最終段階を制御する鍵酵素である。これまでに我々は本遺伝子の1α,25(OH)_2D_3依存的な転写抑制機構に着目し、プロモーター上に存在するビタミンDの負の応答配列[1αnVDRE]に直接結合する転写制御因子VDIRを同定した。VDIRは1α,25(OH)_2D_3によりVDRと結合しヒストン脱アセチル化酵素(HDAC2)を含む転写抑制化複合体を呼び込み、ヒストン脱アセチル化を介し転写を抑制し(Murayama, Kim et al.,EMBO J.,23,1598,2004)、また染色体の構造調節も担うことを明らかにした(Fujiki, Kim et al.,EMBO J.,24,3881,2005)。 今回我々はVDIR-VDR転写抑制化複合体の構成因子を同定することにより新規の転写抑制機構の解明を試みた。生化学的手法により複合体精製を行った結果、DNAメチル化酵素(Dnmt1)がこの転写抑制化複合体に含まれることが明らかになった。Dnmt1はDnmt3bと共にVDIRおよびVDRと1α,25(OH)_2D_3依存的に相互作用することにより1α(OH)ase遺伝子の転写を抑制した。また、ChIP assayにより1α nVDRE上でDnmt1とHDAC2が経時的にリクルートされることが明らかになった。実際、1α(OH)ase遺伝子プロモーター上に存在する3箇所のCpG配列が1α,25(OH)_2D_3依存的にメチル化されることが明らかになった。これらの結果より、1α(OH)ase遺伝子のビタミンDによる転写抑制においてヒストン修飾と共にエピジェネティクスな制御が関与することを見出すことができ、新たな転写抑制機構の存在を証明することが出来た。
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Research Products
(3 results)