2006 Fiscal Year Annual Research Report
コムギとイネの種子胚発芽時におけるミトコンドリアバイオジェネシスの比較解析
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05F05187
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 千春 神戸大学, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NAYDENOV Nayden G. 神戸大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | ミトコンドリア / チトクローム鎖 / シアン耐性鎖 / オルタナティブオキシダーゼ / 種子発芽 / オルガネラバイオジェネシス / オルガネラマクロアレイ / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
急激な呼吸鎖の発達を伴う種子胚の吸水・発芽過程は、植物ミトコンドリア(Mt)の構造と機能の発達過程(Mtバイオジェネシス)を解析する格好の対象であり、低温、乾燥、塩、低酸素分圧などの環境ストレス下での発芽および幼苗生育など農業上重要な解析対象形質である。本研究では、コムギとイネを材料に、種子胚の発芽過程におけるMtバイオジェネシスを、Mt電子伝達系を構成する遺伝子群の発現動態から明らかにする。特に、シアン耐性酸化酵素であるオールタナティブオキシダーゼ(AOX)の役割を低温など環境ストレス下で検証し、AOXの発現制御に関わる核とMt間の情報伝達機構を明らかにする。 コムギの標準品種CSを材料とした平成18年度の研究成果は以下のとおりである。 1)発芽及び幼苗生育時のMtバイオジェネシスを、呼吸鎖(チトクローム鎖とオルタナティブ鎖)の発達過程と遺伝子発現変化から追跡した。吸水後、速やかに開始される呼吸は、胚に蓄積された電子伝達系酵素群と新たに合成された酵素群が担うことが明らかとなった。チトクローム鎖の阻害は、AOX遺伝子の発現上昇とAOXタンパク質の蓄積によるオルタナティブ鎖の容量上昇をもたらすことを明らかにし、オルタナティブ鎖はチトクローム鎖の補完機能をもつことを示唆した(投稿中)。 2)Mtマクロアレイを用いて発芽時におけるチトクローム鎖とシアン耐性鎖の呼吸活性及びMt遺伝子発現の変化を解析した。さらに、低温、脱水、塩ストレスが発芽と遺伝子発現に与える効果を正常条件下でのそれとを比較した。Mtマクロアレイには、イネとコムギの機能未知ORFを含む全遺伝子と、Mtタンパク質をコードする既知の核遺伝子を載せた。解析の結果、発芽時のMt遺伝子発現の動的変化と、各ストレスのMt遺伝子発現に与える影響に特異性と共通性があることが明らかとなった(投稿中)。 3)電子顕微鏡を用いた組織観察により、Mtバイオジェネシスの過程を、Mt数とMt構造の継時変化に基づき特徴づけた。
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Research Products
(1 results)