2005 Fiscal Year Annual Research Report
1H-NMR計測法によるイネの温度ストレス耐性に対するコンポスト施用効果
Project/Area Number |
05F05188
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 眞理 九州大学, 農学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MOLLA Md.Abul Hossain 九州大学, 農学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | イネ / 温度ストレス / ^1H-NMR / 登熟歩合 |
Research Abstract |
イネOryza sativa L.の玄米品質は登熟期間の気温の影響を強く受ける。低温条件下では胚の発育停止や未熟粒の発生が多くなり、高温条件下では成熟日数が短縮することにより不良形質米の発生が多くなることが知られている。本研究では、コンポストの施用効果の基礎データとして、登熟期間における温度ストレスがイネの登熟に及ぼす影響について、主に水の分子動態に着目し検討した。 イネを野外で栽培し、出穂後に20℃、25℃および30℃の各ファイトトロンで栽培した。出穂後約7日おきに、籾のNMR緩和時間(T_1,T_2)および含水率を求めた。収穫後に、登熟歩合、粒厚分布等を計測した。 20℃区では、登熟初期の籾重量は30℃、25℃区に比べて低かったが、漸増し最終的には、籾重は最大となった。登熟初期の含水率は、30℃区で低下が著しかったが、その後緩慢になり、最終的には25℃区、20℃区とほぼ等しくなった。収穫後、20℃区では不稔籾の発生が多く、低温により登熟歩合は低下し、また粒厚1.8mm以下の玄米の割合が高くなったが、千粒重は増加した。一方、高温では、著しい品質低下が見られた。 登熟過程のイネ籾について、^1H-NMR緩和時間(T_1)値は、20℃区で出穂後7日では低くなり、登熟中期まで長い値を示した。全体的に登熟過程の籾のT_1は、25℃、30℃区の順に短くなった。T_2値は、登熟初期ではT_1と同様に20℃で最も低い値を示した。出穂後36日では温度による影響は見られなくなり、それ以降では、いずれの処理区でもT_2は著しく短縮した。 以上のことから、イネ籾の登熟過程における温度障害について^1H-NMRによるモニタリングの可能性が明らかになった。
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Research Products
(1 results)