2006 Fiscal Year Annual Research Report
1H-NMR計測法によるイネの温度ストレス耐性に対するコンポスト施用効果
Project/Area Number |
05F05188
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 眞理 九州大学, 大学院農学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MOLLA Md.Abul Hossain 九州大学, 大学院農学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 水稲(Oryza sativa L.) / 登熟過程 / ^1H-NMR / 水分子動態 / コンポスト / ベントグラス |
Research Abstract |
水稲(Oryza sativa L.)の登熟過程(出穂後50日間)における籾の温度ストレス応答について、^1H-NMRにより、水分子動態に及ぼす影響を解析した。出穂後7〜15日(DAF)にかけて、20℃区の籾ではNMR縦緩和時間(T_1)はわずかに延長したが、30℃区のT_1は著しく短縮した。22DAFまでは、25および30℃区では、籾のNMR横緩和時間(T_2)の2成分はそれぞれ100msおよび10msであったが、29DAFにはT_2は各々1msおよび20μsを示し、急激に減少した。このことは出穂後22DAFまでの籾は自由水を保持していたが、それ以降は結合水のみになったことを意味している。一方、20℃区では出穂後29DAFまでT_2成分はそれぞれ100msおよび10msを示したことから、高温区に比べ自由水は7日長く保持されたことが明らかになった。登熟の全過程における温度ストレスでは、籾のT_1は登熟初期から中期までの水分変化によく対応し、またT_2は登熟後期の乾物集積を反映していた。 20および25℃処理後ではそれぞれ27%および68%の完全米が得られたが、30℃区では、完全米は皆無で、逆に背白米が85%を占めた。一方、胴切米については、25および30℃区ではほとんど発生しなかったのに対し、20℃区では28%を占めた。以上のことから、NMR緩和時間は温度ストレスによる籾品質の非破壊的な早期診断法として有効な指標となることを明らかにした。この研究と並行してコンポスト施肥によるイネ科作物のベントグラスの成長について化学肥料による施肥と比較した。その結果、前者は成長にそって緩かに作用し排水からのイオン漏出量も低いことを明らかにし報告した。これらの基礎研究をもとに、イネの登熟過程における温度ストレスに対するコンポスト施肥効果について、NMRモニタリングによる研究結果をとりまとめ中である。
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Research Products
(2 results)