2005 Fiscal Year Annual Research Report
収穫後の熱帯・亜熱帯果実における省エネ・低コスト貯蔵法の開発
Project/Area Number |
05F05189
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
寺井 弘文 神戸大学, 農学部, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WENDAKOON SK 神戸大学, 農学部, 外国人特別研究員
|
Keywords | スダチ / 1-MCP / 緑色 |
Research Abstract |
スダチ(Citrus sudachi hort. ex Shirai)果実は独特の香りを有する香酸柑橘類である。収穫後常温に貯蔵すると、速やかに果皮が黄化し、さらにフレーバーが変化するなど、容易に品質が低下し、商品価値が失われる。低温では緑色保持ができるものの低温障害をおこしやすく、温度管理には経験と綿密な条件が要求される。さらに、低温貯蔵には膨大な電気エネルギーを要し、ひいてはコスト高だけでなく、地球環境の悪化に拍車をかける結果にもなる。本研究では、アメリカで開発され、エチレン作用の阻害剤であり、多くの追熟型の果実で品質保持をめざして世界で研究が進みつつある1-methylcyclopropene(1-MCP)を用い、省エネ・低コストをコンセプトとし、安全で簡便な貯蔵技術の開発をめざして、非追熟型果実であるスダチ果実の黄化抑制を試みた。 徳島県産のスダチ果実を用い、各濃度の1-MCP(0,0.05,0.1,0.25,0.5ppm)を24時間20℃下で処理し、20℃で貯蔵した。毎日エチレン生成、呼吸、果皮色、果実重、果皮褐変及びフェノール化合物の含量を測定した。その結果、無処理区は2日で黄化したのに対し、0.1ppm処理区は5日間、0.05ppm処理区は4日間緑色が保持された。しかし、高濃度の0.25ppmではかえって3日で黄化し、やがて褐変した。さらにより高濃度の0.5ppmでは2日から著しく褐変した。果皮の褐変が生じた区ではエチレン生成や呼吸量は著しく高く、重量減少も顕著で急激な生理的変化が生じることがわかった。褐変の基質になるフェノール化合物について、0.5ppm区は他の処理区と比べて高かった。このようにスダチの緑色保持には、0.1ppmの1-MCPが最適であるものの、やや高濃度では褐変を起こすなど、1-MCPに敏感に反応することがみいだされた。
|