2005 Fiscal Year Annual Research Report
未熟キウイ果実の細胞壁に結合しているアミラーゼの性質と発現
Project/Area Number |
05F05190
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
桜井 直樹 広島大学, 総合科学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 興軍 広島大学, 総合化学部, 外国人特別研究員
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Keywords | キウイ / 果実 / 細胞壁 / 多糖類 / 加水分解酵素 / トレハラーゼ / トレハロース |
Research Abstract |
キウイ果実は軟化に伴い、細胞壁の性質が変化し、物理的性質が変化する。この変化が果実の軟化を引き起こしていると考えられている。細胞壁は高分子多糖類から構成されている。細胞壁に存在する様々な多糖類を分解する加水分解酵素は高分子多糖類の分解を引き起こし、細胞壁の物理的強度を低下させていると考えられている。このため細胞壁に分泌されている加水分解酵素は果実の軟化に重要な役割を果たしていると考えられている。 本研究ではこれらの知見に基づき、キウイが軟化する時期のキウイ細胞壁から分泌される酵素を研究した。まず、細胞壁の多糖類の変化を調べたところ、予想に反して細胞壁を構成し、細胞壁の物性変化に重要な役割を果たすと考えられてきた、キシログルカンの分子量が、軟化過程でほとんど変化しないことがわかった。そこで、キウイ細胞壁を高塩濃度溶液で処理してイオン結合している酵素を遊離させ、その機能を調べた。その結果、アミラーゼ様のエキソ型活性を持つ酵素タンパク質を単離・精製した。このN末アミノ酸配列を調べたところ、相同性の検索から予想に反してアミラーゼではなく、トレハラーゼと相同性の高いことが分かった。この酵素は、極めてトレハロースに基質特異性が高く、いわゆる基質特異性の低いα-アミラーゼではなく、トレハラーゼであることが分かった。そこで、この基質であるトレハロースがキウイにあるかを検索したところ、果実には微量であるがトレハロースが存在することが知られていた。 以上の結果から、もともと昆虫の血液に存在することが知られているトレハロースが果実にも存在し、それを分解してグルコースに変換する酵素トレハラーゼが細胞壁に分泌されていることが分かった。なぜ、トレハロースが細胞壁中に存在し、それを分解するトレハラーゼが同じく細胞壁中に分泌されているかという意味、およびこの過程が、キウイ果実の軟化とどのように結びつくかについては次年度に更に研究を進めたい。
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Research Products
(1 results)