2005 Fiscal Year Annual Research Report
植物における環境ストレスを防御する機構への生理活性物質の関わり
Project/Area Number |
05F05192
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
近藤 悟 県立広島大学, 生命環境学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SETHA Sutthiwal 県立広島大学, 生命環境学部, 外国人特別研究員
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Keywords | アブシシン酸 / 水分ストレス / スーパーオキサイド / DPPHラジカル |
Research Abstract |
アブシシン酸は様々な環境ストレスに反応するストレスホルモンである。草本性植物に乾燥ストレスを与えた場合、アブシシン酸合成経路上で上流に位置する9-シスエポキシカロチノイドジオキシゲナーゼ(NCED)がアブシシン酸の増加に先行して増加し、この事実はNCEDがアブシシン酸の鍵酵素であることを示唆するが、カンキツでの本遺伝子の単離は行われていない。本研究ではカンキツ‘不知火'樹を供試し、乾燥下でのNCED遺伝子の発現を検討した。本実験条件は、乾燥下の水ポテンシャルは-1〜2.3、コントロール区では-0.8〜1.0であった。カウピーより単離されているNCED遺伝子配列を基にディジェネレートプライマーを設計し、‘不知火'果実のcDNAを鋳型として、RT-PCRにより遺伝子のクローニングを行った。本研究では2遺伝子を単離した。これらの遺伝子はシロイヌナズナ、トマトおよびアボガドと高い相同性を示した。NCED転写をノーザンプロット解析により検討した。2遺伝子中の1遺伝子がアブシシン酸の変化と対応し、乾燥ストレス下でその転写量が増加した。 乾燥ストレスへの反応が報告されている、アブシシン酸およびジャスモン酸の葉への外生処理が、気孔応答に及ぼす影響を検討した。コントロールは蒸留水処理とした。処理後1、3,および5日目の気孔の開閉状態の観察を電子顕微鏡で行った。コントロール区の葉の気孔開度が3.97μmであったのに対して、処理1日後に、アブシシン酸処理区では全ての気孔の閉鎖が観察され、一方、ジャスモン酸処理区の葉の気孔開度は処理1日後が4.2μmであったが、3日後は2.3μmとなった。このように気孔の閉鎖に及ぼす影響はアブシシン酸がジャスモン酸に比較し、より強いものと推定された。
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Research Products
(1 results)