2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物における環境ストレスを防御する機構への生理活性物質の関わり
Project/Area Number |
05F05192
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
近藤 悟 県立広島大学, 生命環境学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SETHA Sutthiwal 県立広島大学, 生命環境学部, 外国人特別研究員
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Keywords | ウニコナゾール / アブシシン酸 / 気孔 / 水ポテンシャル / リンゴ |
Research Abstract |
リンゴ実生を供試し、アブシシン酸からファゼイン酸への代謝を制御する酵素であるABA-8'-hydroxylaseの活性阻害剤であるウニコナゾールの処理が乾燥ストレス制御に及ぼす影響を検討した。ウニコナゾール10ppmを、バーミキュライトに植栽した40日齢の実生にスプレー処理し、24時間後に実生をバーミキュライトから抜き取り、濾紙の上に静置した(乾燥処理)。その後、濾紙上に静置した実生を3,6,12,24および48時間後に採取し、内生アブシシン酸、抗酸化活性、および気孔の開閉の程度などの観察を行った。内生アブシシン酸は、乾燥処理開始の6時間後以降、乾燥処理区(ウニコナゾール処理および無処理区)で増加したが、無処理に比較しウニコナゾール処理で、アブシシン酸濃度の増加程度は高かつた。すなわち、乾燥処理開始後12時間では、ウニコナゾール処理区が無処理区比べ、1.5倍、さらには24時間後には2倍となった。抗酸化活性については、スーパーオキサイドアニオンラジカルおよびDPPHラジカル消去活性を測定したが、それぞれのEC50値は乾燥無処理区で最も低下し、一方、ウニコナゾール処理区でのEC50値は灌水区と大きな相違を示さなかつた。ウニコナゾールを処理した葉の気孔開度は処理3時間後から低下し、観察を続けた72時間後までその影響は継続した。これらの結果は、ウニコナゾール処理による内生アブシシン酸濃度の上昇がより早い気孔の閉鎖を促進し、リンゴ実生内での水分保持がなされたことを示唆する。これらの結果は乾燥条件下での果樹栽培への道を示唆するものであるが、光合成などへの影響も含め、今後さらに検討する必要がある。
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Research Products
(2 results)