2006 Fiscal Year Annual Research Report
キボシカミキリにおける変態の分子レベル制御に関する研究
Project/Area Number |
05F05194
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 幸男 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MUNYIRI Florence Njeri 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | キボシカミキリ / 変態 / 休眠 / 発育制御 |
Research Abstract |
幼若ホルモン(Juvenile hormone, JH)は昆虫の成長,発育,休眠,生殖に広くかかわっている.したがって,血中JH濃度の高精度な制御は昆虫にとって不可欠となっている.JHの代謝系の一つに,JHに非常に高い選択性を示すJHエステラーゼ(JHE)がある.我々はJHEをコードする全長cDNA(PhJHE)をキボシカミキリPsacothea hilarisから得ることに成功した. PhJHE cDNAは1989bpより構成され,1785bpの読み枠(ORF)をもち,595アミノ酸残基をコードしていた.推定されたPhJHEアミノ酸配列はコクヌストモドキ(Tenebrio molitor)のJHEに高い相同性(アミノ酸一致率50%)を示し,ショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)のJHEとも34%の相同性を示した.PhJHEの転写産物は主に脂肪体で発現していた.転写産物の量は,5齢(終齢)の3日齢までは低くかったが,その後徐々に上昇し13日齢で最大となった.この時期は血中のJHE活性が最大となる時期と完全に一致していた.4齢に脱皮した個体を数日間摂食させた後に絶食させるとPhJHEの転写量が増加したが,このとき絶食に代えてショ糖含有寒天を与えると,PhJHEの転写増加は完全に阻害された.これらの結果をこの虫で観察される,絶食による早熟蛹化と関連させながら分析したところ,早熟蛹化はPhJHEの増加が引き金となって誘導されていることが示唆された.
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Research Products
(1 results)