2005 Fiscal Year Annual Research Report
三陸沖における有用水産魚種の餌料としての毛顎類の役割
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05F05206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺崎 誠 東京大学, 海洋研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JOHNSON Travis Blake 東京大学, 海洋研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 三陸沖 / 毛顎類 / 捕食 / 有用水産魚類 |
Research Abstract |
サンマ試料は2000年2月(黒潮域)、7月(三陸沖・千島列島南親潮域)、9月(三陸沖・親潮域)、11月(三陸沖・親潮域)、2001年7月(三陸沖・親潮域)から流し網、表層トロール(0-20m)によって捕獲された。このうち全139個体(内76個体は胃前部と胃後部に分離)について胃内容物を顕微鏡で調べ、毛顎類については顎毛の形状より種の査定、顎毛数の計数、最大顎毛長の計測を行った。139個体(体長23.8-34.2cm)のうち88個体(63.3%)が毛顎類を捕食していた。このうち29個体は100個体以上の毛顎類を食べていた。18-24時の時間帯に捕獲されたサンマが最も多く毛顎類を捕食しており(40.7%)、次いで12-18時が多かった(34.5%)。胃の前部から検出された顎毛の方が多い個体は全体の1/3で、12-18時に採集されたサンマが多かった。サンマの胃内容物としては大型カイアシ類、ツノナシオキアミ(Euphausia pacifica)に代表されるオキアミ類、端脚類が多く見られ、これらの甲殻類の少ない内容物に毛顎類が多く認められた。親潮域から捕獲されたサンマの胃から検出される毛顎類はほとんどキタヤムシまれにS.scrippsaeの顎毛が認められた。同じ海域に生息するサンマでも11月に比べ、7月の方が大きなキタヤムシを捕食していた。黒潮域のサンマはエンガンヤムシ、フクラヤムシなどの種類を捕食し、全個体の胃から顎毛が検出された。胃の中のキタヤムシの平均体長は、生息環境中よりかなり大きい傾向が認められた。通常、サンマは日没前後に活発な摂餌を行い、甲殻類などの消化時間は約6時間である。日没後はカイアシ類、オキアミ類に混じって毛顎類も食べられるが、むしろ甲殻類が表層に少ない日中(6-18時)に毛顎類が餌として利用されている。
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Research Products
(2 results)