2006 Fiscal Year Annual Research Report
三陸沖における有用水産魚種の餌料としての毛顎類の役割
Project/Area Number |
05F05206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺崎 誠 東京大学, 海洋研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JOHNSON Travis Blake 東京大学, 海洋研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 三陸沖 / 毛顎類 / 捕食 / 有用水産魚種 |
Research Abstract |
サンマによる肉食性動物プランクトン毛顎類の捕食調査が千島列島周辺、親潮域、三陸沖、親潮黒潮混合水域、黒潮域の31測点(7調査航海)で各季節に実施された。サンマは表層トロール(0-20m)と流し網で捕獲され、すぐに船上でホルマリン固定され、研究室に持ち帰り胃内容物の検鏡が行われた。毛顎類については消化の状態を調べた後、顎毛の計数と形状観察が実施され、形状より判定した最大顎毛の長さを計り、キタヤムシ(Sagitta elegans)の場合には換算式によって推定体長を求めた。900個体の検鏡の結果、サンマの58.1%が毛顎類を補食していた。また約1/3は100個体以上の毛顎類を補食しており、サンマの摂餌活動が主に肉眼によることを考慮すると餌となった毛顎類(おもにキタヤムシ)は表層で群集団を形成している可能性が高い。サンマによる捕食は日没から深夜が活発で、この時間帯には毛顎類のほかにカイアシ類、オキアミ類、端脚類等の甲殻類も胃の中から検出されたが、昼間にはほとんど毛顎類のみを捕獲していた。これは甲殻類が顕著な日周鉛直移動によって昼間にはサンマと遭遇しない中層に降下するためと推察される。親潮域でではキタヤムシがほとんどであったが、黒潮域ではフクラヤムシ(S.enfalata)とエンガンヤムシが多く補食されていた。同じ海域に生息するサンマでは11月に比べ7月の方がおおきなキタヤムシを捕獲していた。夏季に親潮域を索餌回遊している時期には大型から小型のキタヤムシが胃の中から検出されサンマの体長と餌ヤムシの体長には相関関係は認められなかった。その後、成長したサンマは南下して11月に三陸沖で採集された時には水中に生息するキタヤムシの中でより大型の個体を選択的に補食していた。このように本研究によって毛顎類は有用魚種、サンマの主要な餌であることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)