2006 Fiscal Year Annual Research Report
2種の培養系を用いた内分泌かく乱物質の精巣への細胞毒性的影響に関する比較研究
Project/Area Number |
05F05210
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
九郎丸 正道 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ANDRIANA Bibin Bintang 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | フタル酸エステル / MEHP / DBP / マウス / ニホンザル / 精巣器官培養系 / アポトーシス / ビメンチン |
Research Abstract |
フタル酸エステル類は、プラスティック可塑剤として一般に広く利用されており、実験動物において繁殖力の低下、精巣萎縮をきたすことが経口投与試験(in vivo)で報告されているが、培養系(in vitro)を用いた研究は殆どなされていない。そこで本研究では、フタル酸エステル類のうち、MEHP[Mono(2-ethylhexyl)phthalate]及びDBP[Di-n-butyl phthalate]の精巣に対する直接的な影響について検討するため、マウス及びニホンザルの精巣器官培養系への添加試験を試みた。マウス及びサルの精巣器官培養系にMEHPないしDBP添加後、アポトーシスを起こした精細胞の数的変化を、TUNEL染色により定量的に比較検討したところ、アポトーシス細胞は、時間、濃度依存的に増加を示した。次に、精細胞が精上皮より遊離する機構を検討するため、ビメンチン染色を行った。その結果、対照群では連続したビメンチンの分布が認められたのに対し、実験群では不連続な分布を示したことから、精細胞の精上皮からの離脱に、ビメンチンの消長が大きく関与することが示唆された。DBP添加の結果、マウス、サル精巣とも、ネクローシス/アポトーシスを起こしたセルトリ細胞及び精細胞が確認された。ネクローシスを起こしたセルトリ細胞及びアポトーシスを起こした精細胞ともDBP(100nmol/ml)添加後、3時間で認められた。前者では、細胞質内に多くの空胞が確認された。結論として、1)MEHP及びDBPは、マウス及びサル精巣に毒性を示した。2)MEHPはDBPより、強い精巣毒性を示した。3)精巣組織培養系は、化学物質の精巣毒性のスクリーニングに有効であった。
|