2005 Fiscal Year Annual Research Report
プリオン感染マウスモデルを用いたプリオン病治療候補薬の評価
Project/Area Number |
05F05212
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
堀内 基広 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KIM C.-l 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | プリオン病 / 伝達性海綿状脳症 / 治療 / 抗体 / 脳室内投与 |
Research Abstract |
培養細胞レベルでPrP^<Sc>の産生を抑制する物質は、プリオン病治療薬の候補となりうる。そこで、候補薬物をプリオン感染モデルで治療効果や副作用を評価して、プリオン病治療法の開発に役立てることを目標とした。プリオン病治療薬は中枢神経系組織に到達することが重要であるので、候補物質を浸透圧ポンプを用いて脳室内に直接投与して副作用、延命効果、治療効果の評価を実施した。候補物質の一つである人工合成硫酸化糖(4SGN,p6SGN)を、スクレイピー帯広株を接種して発病初期にあるマウスに浸透圧ポンプを用いて一ヶ月間脳室内に投与したが、陰性対照と比較して有意な延命効果は認められなかった。特定の抗PrP抗体が培養細胞においてプリオンの増殖を阻害することが知られている。そこで、プリオン増殖阻害活性を有する抗体を脳室内に投与した時の副作用を評価した。用いた3種類の抗PrP抗体のうち、1種類の抗体が、海馬錐体細胞を選択的に変性させることが判明したが、他の2種の抗体は顕著な神経変性を惹起しなかった。抗体が認識するエピトープにより神経変性誘発が異なったことから、神経変性作用のある抗体を培養細胞レベルでスクリーニングして排除することを日的に、マウス神経芽腫細胞(N2a)を抗体で刺激してDNAマイクロアレイ法により、抗体刺激により変動する遺伝子群の解析を実施した。しかし、細胞死に関連する遺伝子群が特異的に変化しているという現象は認められなかった。現在、神経毒性を誘発しない抗PrP抗体を脳室内に持続投与し、治療効果の評価を継続中である。
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