2006 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシン受容体と核内受容体のネガティブクロストークの解明
Project/Area Number |
05F05214
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤田 正一 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
IBRAHIM Z.S. 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | arylhydrocarbon receptor / シトクロムP450 / ケノデオキシコール酸 / farnesoid X receptor / MAPK / 核内受容体 |
Research Abstract |
シトクロムP450(CYPあるいはP450)は細菌から植物、昆虫、哺乳類までありとあらゆる生物に分布し、生理活性物質の生合成とともに、多くの環境汚染物質を代謝する重要な代謝酵素である。P450の多くは核内受容体によって発現調節を受けており、また、その受容体の多くは、リガンドと構造の似ている汚染物質あるいはその代謝物と結合する。このことが、環境汚染物質が生理的な受容体の活性化経路を撹乱し、毒性を発現する原因の一つであると考えられる。そこで、ダイオキシン類や多環芳香族類と結合し、毒性発現の引き金となっているarylhydrocarbon receptor(AhR)を中心に、キーエンザイムP450とリガンド、およびこれら受容体間のバイオインフォメーションネットワークを解明する。 これまでの研究で、化学物質が、AhRを介して、脂肪代謝を調節する核内受容体peroxisome proliferator activated receptors(PPARs)のfunctionを阻害することが明らかとなった。また、その研究過程で、AhRはPPARsだけではなく、そのヘテロパートナーであるretinoid X receptor(RXR)の発現も抑制することが分かった。今年度は、核内受容体の1つconstitutive active receptor(CAR)についても、AhRとネガティブに相互作用することを明らかにした。また、同じくRXRをヘテロパートナーとするfarnesoid X receptor(FXR)などのリガンドがAhRに及ぼす影響について調べた。chenodeoxycholic acid(CDCA)は胆汁酸代謝物でFXRのリガンドである。本研究より、CDCAが、AhRリガンドのAhR活性化を増加させることが明らかとなった。また、mitogen-activated protein kinase(MAPK)阻害実験より、CDCAによるAhRの活性化にMAPKを介していることが示唆された。
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Research Products
(4 results)