2005 Fiscal Year Annual Research Report
PKCによるカプサイシン受容体TRPV1の再感作の分子機構の解明
Project/Area Number |
05F05218
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
岡田 泰伸 生理学研究所, 細胞器官研究系, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MANDADI Sravan 生理学研究所, 細胞器官研究系, 外国人特別研究員
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Keywords | カプサイシン受容体TRPV1 / リン酸化 / PKC / 抗リン酸化抗体 / 再感作 |
Research Abstract |
カプサイシン受容体TRPV1は侵害刺激受容神経に特異的に発現する侵害刺激受容体であり、生体に痛みを惹起するカプサイシン、酸(プロトン)、熱(43度以上)等によって活性化する。TRPV1の蛋白質リン酸化酵素によるリン酸化は機能増強を引き起こし、炎症時においてみられる痛覚過敏の発生に関与する。一方、TRPV1活性の減弱(脱感作)はカプサイシンの鎮痛薬としての機能に関連する。TRPV1活性は脱感作を起こした後でも、PMAによるPKCの活性化によって再び増大する。この増大は、Ca^<2+>-imaging法、パッチクランプ法の両方で観察されるが、PKCε阻害剤で抑制され、PKCによるリン酸化を受けない変異体でみられないことから、PKCεによるTRPV1のリン酸化がその作用メカニズムと考えられた。しかし、HeLa細胞にTRPV1を強制発現させたときには観察されなかった。HEK293細胞、CHO細胞、HeLa細胞でPKCεの発現を比較したところ、CHO細胞で最も多く、HeLa細胞で最も少なかった。よって、HeLa細胞でPMAによるTRPV1の再感作が観察されなかったのはPKCεの発現が少ないからだと考えられた。PKCεによるTRPV1のリン酸化を定量化する目的で、800番目のセリン残基がリン酸化したのを認識する抗体を作製した。この抗体は、HEK293細胞に発現したTRPV1やラット後根神経節細胞のTRPV1のPMAによるリン酸化を検出し、PMA刺激前にもリン酸化されたTRPV1が存在することを示した。この抗体を用いて、上記の3種類の培養細胞でリン酸化TRPV1蛋白質量を定量化したところ、PMA刺激による増加はCHO細胞で最も顕著で、HeLa細胞で最も軽微であった。この順番はPKCε発現量と一致しており、PKCεの発現量がTRPV1のPMA刺激によるリン酸化を規定する重要な因子となっていることをあらためて示した。
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Research Products
(1 results)