2005 Fiscal Year Annual Research Report
病原性大腸菌の粘膜上皮感染における細菌エフェクタータンパク質の役割解明
Project/Area Number |
05F05221
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笹川 千尋 東京大学, 医科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KIM Minsoo 東京大学, 医科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 病原性大腸菌 / 細胞周期 |
Research Abstract |
病原性細菌による腸管感染疾患は、現在も開発途上国を中心に毎年多くの人命を奪い、大きな脅威となっている。しかし赤痢菌や病原性大腸菌などによる感染機構はまだ充分理解されておらず、その解明は細菌感染に対する治療法の確立に貢献する。本研究では、感染成立に重要な役割を果たすと推定される細菌新規エフェクター蛋白質が感染に果たす役割を明らかにし、その分子メカニズムを遺伝子発現・標的分子の観点から解明する。腸管病原性大腸菌(EPEC)のエフェクターであるCifを解析し、これら粘膜病原細菌の感染成立を抑制する手法の開発につなげる。 (1)EPECのエフェクターCifが感染成立に果たす役割を解析する。野生型と上記エフェクター欠損株のEPECを作製した。感染対象となりうる上皮細胞(Hela,Hep-2)に感染させ、細胞周期への影響を調べた結果、G2期に細胞周期が止まっていることを観察した。 (2)エフェクターに対する抗体、及びGFPとの融合蛋白質発現系を作製し、宿主細胞内局在を蛍光顕微鏡で調べた。CifはHela及びHep-2細胞内では主に核に存在することが観察され、核内で細胞周期停止に影響すると考えられる。 (3)Yeast-Two-hybrid法によりCifの標的宿主蛋白質の同定を試みた。いくつか同定した標的宿主蛋白質及びCifを293T細胞に発現させ、免疫沈降を行い両者が結合していることを確認した。さらに免疫染色を行った結果、両者はHela細胞の核内に共局在することが確認された。本年度に続き、同定した標的宿主蛋白質の発現をRNAi法によって抑制した場合の、細胞周期や細胞死誘導能などを評価することで、その標的宿主蛋白質の重要性を検討する。
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