2006 Fiscal Year Annual Research Report
病原性大腸菌の粘膜上皮感染における細菌エフェクタータンパク質の役割解明
Project/Area Number |
05F05221
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笹川 千尋 東京大学, 医科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KIM Minsoo 東京大学, 医科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 病原性大腸菌 / 細胞周期 |
Research Abstract |
病原性大腸菌の粘膜上皮感染において、感染した宿主細胞の細胞周期停止に関わる細菌エフェクタータンパク質の機能解析を進めている。具体的には,腸管病原性大腸菌(EPEC)のエフェクターであるCifを解析し、これら粘膜病原細菌の感染成立を抑制する手法の開発につなげる。17年度の成果に基づき、上記エフェクターが感染成立に寄与する分子メカニズムを解明する。 (1)エフェクターの機能ドメインを部分欠失体や点変異体の作製・解析により決定する。Cifの機能ドメインを見つけるためにホモロジードメイン検索を行い、ATPと結合するサイトが予想された。ATP結合能をもつ蛋白質は細胞内のさまざまな役割をすることが知られている。予想されたATP結合サイトにいくつかの変異を導入した点変異体を作製した。EPECのエフェクターCifが感染成立に果たす役割を解析するため、野生型と上記エフェクター変異株のEPECを作製した。感染対象となりうる上皮細胞(Hela, Hep-2)に感染させ、細胞周期への影響を調べた。野生型のEPECを感染させるとG2期に細胞周期が止まっていることが観察されたが、変異株のEPECを感染させた場合では細胞周期の停止はみられなかった。以上のことからこのドメインはCifの機能に重要な役割を果たしていると考えられる。 (2)Yeast-Two-hybrid法によりCifの標的宿主蛋白質の同定し、いくつか同定した標的宿主蛋白質とCifが結合していることを確認した。同定した標的宿主蛋白質を過剰発現させた場合やRNAi法により発現抑制した場合、細胞周期変化やシグナル伝達を検討した。その結果、Cifの蛋白量に変化がみられ、細胞内でユビキチン化されることが確認した。蛋白のユビキチン化細胞周期の進行に大事な役割をしていることから、ユビキチン化によって宿主細胞の感染成立を担うシグナル伝達が誘起されるかを検討する。
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