2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05222
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
内木 宏延 福井大学, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU Beixing 福井大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | RSウイルス / 細胞性免疫 / IgE抗体 / スギ花粉 / アレルギー反応 / Th1 / Th2サイトカイン |
Research Abstract |
Respiratory syncytial (RS)ウイルスは乳幼児の細気管支炎や肺炎の主要起因ウイルスであるが、近年、高齢者の疾病率や死亡率との関連も注目されている。さらに乳幼児期のRSウイルス感染がその後の気管支喘息発症に大きく関係するという仮説が立てられている。しかしRSウイルスによる下気道感染症や気管支喘息の発症メカニズムについては不明な点が多い。本研究では下記の研究課題についてマウス感染実験を実施した。 研究課題1:老化促進モデルマウスのRSウイルス感染に対する気道粘膜局所免疫応答 老化促進モデルSAM-P1マウスにRSウイルスを感染させると肺内に多量のウイルス増殖が認められ、肺組織に炎症性細胞の浸潤(主にCD16/32細胞)が著しく、著明な体重減少が観察された。ウイルス排除も遅延した。感染局所におけるウイルス特異的IgA抗体価、CTL活性、NK活性がいずれも極めて低いことが判明した。C3H/HeJマウスの正常脾臓細胞を移植するとウイルス感染抵抗性は正常に回復した。高齢に伴う免疫低下、特に細胞性免疫応答の低下が高齢者のRSウイルス感染重症化を引き起こすものと示唆された。 研究課題2:RSウイルス感染によるスギ花粉アレルギー反応の修飾 BALB/cマウスをスギ花粉(JCP)抗原で経鼻感作すると肺実質細胞によるTh2サイトカイン(IL-4,IL-5)産生が亢進し、血清中に抗JCP特異的IgE抗体が出現した。予めRSウイルスを感染させたマウスではJCP抗原によるアレルギー反応誘導が抑制された。これはRSウイルス感染によってマウス体内の免疫系がTh1反応性優位に変化しており、この優位性がJCP抗原によるTh2アレルギー反応誘導を阻止したためである。次に、JCP抗原感作の後にRSウイルスを感染させるとRSウイルスによるTh1反応誘導は逆に阻害され依然としてTh2反応優位を示した。RSウイルス感染とJCP抗原感作の時間的順序がアレルギー発症に大きく関与することが明らかとなった。
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Research Products
(14 results)