2005 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザ脳症の発症に係わる血液-脳関門の破壊と脳内プロテアーゼ
Project/Area Number |
05F05232
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木戸 博 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LE QUANG Trong 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | インフルエンザ / インフルエンザ脳症 / 脳浮腫 / トリプシン / Matrix Metalloprotease 9 / 血液-脳関門 / タイトジャンクション / in situ hubridization |
Research Abstract |
インフルエンザ脳症は我が国の小児で発症頻度が高く、急速な脳浮腫を伴って高い致死性と重症な後遺症を残す事から、大きな社会的問題にもなっている。しかしなぜインフルエンザ感染で脳浮腫が生じるのか、など基本的疑問に対する解答は明らかにされていない。本研究では、インフルエンザ脳症モデル実験動物を用いて、インフルエンザ感染を契機におきる血液-脳関門の破壊の機序を解析した。本年度の研究で、インフルエンザウイルスの経気道感染によって、肺胞上皮細胞のトリプシンの発現増加以外に、脳の海馬の神経細胞と、特に旧脳の血管内皮細胞でトリプシンの発現増加がin situ hubridizationによるmRNAと免疫組織化学の手法によって認められた。さらにトリプシンが発現増加した部位に一致して、血液-脳関門のタイトジャンクションを構成するZonalaoccludin-1,Occludinの著名な減少と、血液成分の漏出を認めた。さらにトリプシン以外に、Type 4 Collagenを分解するMatrix Metallo-Protease 9(MMP-9)の発現増加も認めた。以上の結果は、インフルエンザ脳症における脳浮腫の原因に、ウイルス感染をきっかけとしたトリプシンとMMP-9が関与している事が判明した。特に海馬での浮腫と神経細胞の破壊は、重症なインフルエンザ脳症の後遺症で見られるてんかん発作の発症を強く示唆する。
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Research Products
(6 results)