2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経画像を用いた統合失調症および感情障害の脳病態の解明
Project/Area Number |
05F05234
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 進昌 東京大学, 医学部附属病院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ROGERS MARK ANDREW 東京大学, 医学部附属病院, 外国人特別研究員
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Keywords | 統合失調症 / 感情障害 / ニューロイメージング / 近赤外線スペクトロスコピー / 事象関連電位 / 前頭葉 / うつ病 / バイオロジカルマーカー |
Research Abstract |
近赤外線スペクトロスコピー(near-infrared spectroscopy ; NIRS)・脳波計測などを組み合わせた非侵襲マルチモダリティ脳計測技術を用いて、統合失調症と感情障害の脳病態の共通点と相違点の解明を目的とした。 事象関連電位計測においては、統合失調症における上側頭回の聴覚情報処理過程を反映するmismatch negativityの異常の程度が、言語性記憶の異常やリハビリテーションプログラムによる社会生活技能の改善とそれぞれ相関することを示した。また、統合失調症における能動的情報処理過程を反映する事象関連電位成分P300の異常が統合失調症の中核症状である思考障害レベルと相関することを示した。これらはmismatch negativityやP300が統合失調症に特異的な病態指標であることを示唆している。NIRSを用いた検討では、統合失調症および感情障害(うつ病)における語流暢性課題施行時の前頭部酸素化ヘモグロビン変化量を計測したところ、両者とも前頭部低活性を認めたが、時間変化に疾患の特徴を認めた。すなわち、統合失調症では立ち上がりが遅く、課題終了後に不適切な上昇を認めたのに対し、うつ病では血流上昇の立ち上がりは早いものの、すぐに低いレベルで定常に達してしまう様子が見られた。これらの知見は、統合失調症と感情障害の「前頭葉低活性(hypofrontality)」に病態生理上の差異が存在することを示唆している。
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Research Products
(3 results)