Research Abstract |
プロテアソーム阻害薬(Proteasome Inhibitor : PI)は,新規の分子標的治療薬として注目を集め,様々な悪性腫瘍に対して臨床治験が施行され,その臨床効果が確認されつつある。このPIとインターフェロン(IFN)の併用による効果増強作用とその作用機序について研究を行った。In Vitroで肝細胞癌株に対して,PI(MG-132)とIFN-・を併用することにより,抗腫瘍効果の相乗作用を認めた。作用機序としては,カスパーゼの活性化を介するアポトーシスの誘導が関与していることを確認した。また,細胞周期やミトコンドリアを介するアポトーシスの系では,有意な差は認められなかった。これらの結果より,PIとIFN-・を併用することが,肝細胞癌の治療に有用であることを確認した。現在,この結果は投稿準備中である。 次に,IFN併用化学療法の作用機序として主にIFNレセプター(IFNARs)とそのシグナル伝達機構からの治療効果の検討について研究では,in vitroで,IFNARsに対するsiRNA(short interfering RNA)を用いて,IFNAR mRNAの発現抑制をすることによって,IFNの抗腫瘍効果には,IFNARsの発現とそれに引き続くSTATのリン酸化が重要であることを確認した。この内容は,Hepatology Researchに掲載予定である。IFN-・とIFN-・のシグナル伝達の違いによる抗腫瘍効果をin vitroおよびin vivoで検討した結果は,International Journal of Oncologyに掲載予定ある。 本年度は,第42回日本肝癌研究会,第31回日本外科系連合学会学術集会,第65回日本癌学会,52nd Annual Congress of the Japan Section of the International College of Surgeons,97th Annual Meeting of the American Association for Cancer Researchにて研究業績の発表を行った。
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