2005 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌の分子腫瘍学的研究と実際の臨床応用を目的とした診断技術の開発
Project/Area Number |
05F05238
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 紀章 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SASAMOTO HARA Hiromi 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 胃癌 / 大腸癌 / ピロリ菌 / epigenetic / 遺伝子診断 / 便 / メチル化 / 消化器癌 |
Research Abstract |
我々は、癌の遺伝子診断を臨床の場で応用することを目的に様々な標本や検出方法を用いて研究を進めている。特に我々が開発した検出方法(Enriched RFLP/PCR法、Methylation-specific single PCR, MSSP法)などを中心に、大腸癌の切除標本(230症例)を用いて遺伝子のgeneticな変化(K-ras, B-raf, PIK3CA遺伝子などの点突然変異)やepigenetic(メチル化)な変化(hMLH1,MGMT, MINT1,MINT2,MINT31,p14,p16,DAPK, COX2,CACNA1G, RASSF1AやAPC1A遺伝子のプロモータ領域のメチル化)を検出し、貴重な基礎データを積み重ねてきた。次に我々は、胃癌でも大腸癌と同じ検出法を用いて比較検討した。geneticな変化は、大腸癌に比べて胃癌ではこれまでの報告の通り低頻度であった。一方メチル化解析は、遺伝子のメチル化が平均で約1.5〜2倍の頻度で胃癌に多かった。この結果は、2005年度米国消化器病週間(Digestive Desease Week, DDW)で発表した。この高頻度なメチル化の原因の一つとして、胃で唯一増殖が可能で、発癌とも関連のあるピロリ菌の関与が考えられる、そこでピロリ菌の検出を行ったところ、やはり胃癌でのピロリ菌の感染率は健常人と比べると高頻度で、遺伝子のメチル化も感染者と非感染者では感染者に高頻度であった(論文作成中)。 今後我々は、これらのデータをもとに、便を用いて食道、胃、大腸、肝臓、膵臓など消化器癌の遺伝子診断を確立していきたいと思っている。
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