2005 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄虚血に対する肝細胞増殖因子の遺伝子導入による神経保護作用の検討
Project/Area Number |
05F05239
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
数井 暉久 浜松医科大学, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHI Enyi 浜松医科大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 肝細胞増殖因子 / 脊髄 / 虚血 |
Research Abstract |
下行大動脈瘤および胸腹部動脈瘤に対する手術における脊髄障害は、未だに予測のできない重篤な合併症である。肝細胞増殖因子(Hepatocyte growth factor, HGF)は多面発現性サイトカインとして、脈管形成および神経細胞栄養作用があることが認められており、本研究ではHGFの脊髄虚血に対する保護作用について検討を行った。ウサギを用い、生理食塩水注入群、仮ベクター注入群、HGFベクター注入群の3群に分けて検討した。HGFのcDNAをpcDNA3.1(-)に導入し、HVJウイルスと組み合わせベクターを作成した。HGFのcDNAを含まない仮ベクターも用意した。L6に穿刺して、脳脊髄液に200μgベクターまたは生理食塩水を注入し、5日後、100μlの脳脊髄液を採取しELISA法でHGFの量を測定した。また腎動脈下大動脈遮断による脊髄虚血モデルを用いて、脊髄虚血30分後におけるTarlov scaleを判定し、神経運動機能を評価した。2週間後に脊髄を採取し病理組織学的脊髄障害レベルを検討した。生理食塩水注入群と仮ベクター注入群では脳脊髄液内のHGF濃度に差を認めなかった。HGFベクター注入群では脳脊髄液内のHGF濃度の上昇を認め、導入5日後のHGF濃度が最も高く、その後徐々に減少していくことが判明した。HGFベクター注入群では脊髄虚血後Tarlov scoreが有意に高く、14日後における運動機能完全回復率は88%(8/9)であった。HGFベクター注入群では病理組織学的脊髄障害も低下していた。HGFを脳脊髄液内に導入することで、脊髄虚血に対する脊髄保護効果を認めた。
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Research Products
(4 results)