2006 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄虚血に対する肝細胞増殖因子の遺伝子導入による神経保護作用の検討
Project/Area Number |
05F05239
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
数井 暉久 浜松医科大学, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHI Enyi 浜松医科大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 脊髄 / 虚血 / 肝細胞増殖因子 |
Research Abstract |
術中の脊髄虚血に起因する胸腹部大動脈瘤手術後の対麻痺は重大な合併症である。肝細胞増殖因子(HGF)は潜在的な血管新生因子、神経栄養因子の一つとされている。ウサギ脊髄虚血モデルにおけるHGF遺伝子導入の神経保護効果についての研究を計画した。ヒトHGF発現プラスミドはhemagglutinating virus of Japan (HVJ)エンベロープ ベクターに組み込んだ。HGF遺伝子導入群にはHGF遺伝子を含むHVJエンベロープ ベクターを、コントロール群にはコントロールベクターもしくは生理食塩水を髄腔内に注入した。注入5日後、30分間の腎動脈下大動脈の閉塞により脊髄虚血を誘導し、Hind-limb運動機能をTarlovスコアを用いて14日間評価した。ヒトHGFは遺伝子導入後3日の脊髄液中に検出され、測定値は5日後にピークを迎えた。HGF遺伝子導入群では、コントロール群と比較して有意に脊髄灰白質の網細血管密度が増加し、浮腫の軽減が認められた。コントロール群では、脊髄虚血14日後には全てHind-limb運動機能の悪化、対麻痺(Tarlovスコア=0)を認めたが、HGF遺伝子導入群では、著名にTarlovスコアが維持され、9羽中8羽が正常なHind-limb運動機能を認めた。組織学的評価においては、遺伝子導入群においてより多くの正常な神経細胞の保護、維持が認められた。HGF遺伝子導入は脊髄虚血後の神経損傷を減弱させると考えられた。
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Research Products
(5 results)