2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05243
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
森田 育男 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
オルガ サフロノヴァ 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | HDAC / MCP-1 / IL-8 / クロマチン / 低酸素 / 炎症 / NF-κB / CK2 |
Research Abstract |
炎症局所や固形ガンの中心部における低酸素状態は、病態の進展に重要な各種サイトカイン・ケモカインの産生を調節している。しかし、これまでのサイトカインネットワークの構築に関する研究は通常の酸素分圧で行われており、炎症局所を反映していない。この低酸素下のケモカイン産生を担う転写因子はHIF-1だけでなく、NF-κBが重要な役割を果たしているが、その機序は明らかになっていない。そこで、本年度は、重要なケモカインであるMCP-1のIL-1+低酸素における挙動およびその機序の解明を行った。MCP-1はIL-1で産生が亢進するが低酸素ではその亢進が抑制された。そこで、MCP-1のプロモーターアッセイを行ったところ、低酸素でむしろその活性は上昇した。このことはクロマチン構造の重要性を示唆していることより、クロマチンリモデリングに関する検討を行った。その結果、MCP-1のNF-κB結合サイトにHDAC-3とNCoRが低酸素状態ではリクルートしてくることが明らかとなり、このRepressor複合体が低酸素下におけるMCP-1量を規定していることが明らかとなった。一方、低酸素とHIF-1αシグナルに関しても検討を行い、低酸素下ではカゼインキナーゼCK2が活性化され、このCK2がHADC-1、HDAC-2をリン酸化し、HDAC活性を亢進することが明らかとなった。このHDAC活性の上昇はHIF-1αタンパクのユビキチンリガーゼであるVHLの発現低下を示すことより、HIF1αタンパクの安定化が引き起こされることを明らかにした。このことは、CK2阻害剤の抗炎症、抗腫瘍効果を示すもので新たな薬剤の展開が可能となった。以上のように、ケモカイン、サイトカインの低酸素での亢進、抑制機序が本研究により明らかになりつつある。
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Research Products
(1 results)